きこりに聞いた話


数年前の年末、けもの道を一時間ほど歩いた現場に着いてみると
隣山との境界にある太い木の幹に、筆で文字が書かれていた。


黒々と、子供が書いたような拙い書体で 「おはなししよう」


直後、圏外であるにもかかわらず携帯電話の着信音が鳴った。


すぐに荷物をまとめて山を下りたが、着信音は10分以上鳴り続いた。



翌日、改めて現場に行ってみると、幹の文字は綺麗に消えていた。