クライマーがよく集まる某キャンプ場での事。
俺ら2人が行ったのは冬季休業間近の12月上旬でした。
さすがに真冬にキャンプする物好きは少なく、俺ら以外は遥か遠くに
3~4張のテントがあるのみ。
雪もちらつく寒さの中、夕食と焚火を楽しみ、テントの中へ。
夜中に寒さで目を覚ますと、ガスバーナーに1分程火を付け、テント内を暖め、また寝袋にもぐり込む。
深夜3時頃、連れの女が人声で目を覚ましたらしい。
テントの外で数人がずっと会話をしているらしく、恐怖を感じた彼女は熟睡している俺を起こそうとしたが起きなかったと言う。
朝になって俺は初めてこの話を聞いた。
俺らがテントを張った場所はちょっと隔離された土地で、俺らがそこを確保した以上、普通は他者が通り抜けたり入り込んだりしない(と思われる)にもかかわらず、真冬の深夜3時頃に他人のテント脇で誰かが会話をするというのも不可解だと思った。外はマイナス10度以下。
本当かよ?などと言いながら、まあ何かを盗まれたわけでもなく、俺自身はあまり気にもせず、予定通り帰りの支度を始めた。
キャンプ場自体は近くの山荘が管理しており、連れが清算をしに行った。
管理人は連れに「夜は寒かったでしょう?」などと言葉を交わし、もちろん深夜の出来事など話さなかったらしいが、管理人が突然言った。
「この前、男女2人がテントの中で死んだんですよ、ガス中毒で」
「器具の扱いには気をつけて下さいね」と。
死んだ場所ははっきりと言わなかったらしい。
清算から戻り青ざめた顔の彼女にこの話を聞かされた時、深夜の出来事を想像すると、俺もさすがに気味の悪さを感じた。
テント場に残り酒を撒き、キャンプ場を後にした。