二人分祖父の話 毎年、梅雨の開けた頃に祖父は早朝から茸狩りに出かけていた。 祖父は茸を見付けるのが巧く 昼前には籠一杯の様々な茸を持ち帰って来ては隣家にお裾分けをして喜ばれていた。 ただ、何故か他人と登るのを嫌がり、そのくせ酒と弁当は二人分担いで独りで山に登っていた。 その頃まだ子供だった私が、なぜ独りで登るのに食糧は二人分なのかを尋ねたら 「独りじゃねぇ、山には山の住人がいる。こっちは奴らの土地から茸を採るんだ。だからあれはお返しなんだ。」 と、祖父は鍋をつつきながらぶっきらぼうに答えた。