山の中、車道に出ると、バス停があった。
舗装された道を見ているうち、歩く気を失い、
バスに乗ろうと思った。
時刻表と腕時計を見比べた。
最終バスの時刻は、とうに過ぎている。
何となく伸び上がったが、2時間も前に
走り去ったバスなど、見えるはずもない。
林に囲まれた下り坂を、ぽつぽつと歩いた。
疲れていたが、林間を歩くのは悪くない。
舗装されているのが気に入らなかったが、それも
考えようだ。
ふと見ると、バスが遠去かって行く。
バスに追いつくはずはない。
追い越されたに違いなかったが、その記憶はない。
不意にバスが現れたように思えた。
観光バスではなく、路線バスだった。
もうバスは終わっているはずなのにと思ったが、
それでどうなるものでもない。
自由乗降区間だったが、手を挙げる気にもならなかった。
しばらく行くと、バスが傾いて止まっていた。
左前輪が路肩に落ち、バスの前には大きなトラックが居た。
トラックの積荷は、丸太だ。
運転手と乗客が何人か、道路に立っていた。
シーズン中の週末だったこともあり、バスは満席に近い。
トラックの荷台から後ろに突き出した丸太は、バスの左側、
一番前の座席を押し潰している。
聞けば、そこは唯一の空席。
もし乗っていれば、俺が座っていたに違いない。
空を見上げ、歩き出した。
やがて、次のバス停に着いた。
実はすでに確信していた。
乗る気はなかったが、腕時計と時刻表を見比べた。
次のバスは、1時間後だった。