小屋で知り合ったパーティーを見送るため、小屋の外へ出た。
出発する彼らに手を振って挨拶を交わし、振り返って小屋に戻る。
見送った俺たちは3人。
俺は、3番目に小屋に戻ろうとしていた。
目の前で、小屋の引き戸が軋みながら閉ざされた。


引き戸を開けると、俺の前に小屋へ入った男が俺に背を向けて
立っていた。
彼が振り返り、おや、という顔をして俺の顔を見つめた。
小屋に残っているのは3人。
「自分が最後だと思って・・・」
まあ良い。


まあ良いが、似たようなことが小屋に居る間じゅう続いた。
俺が部屋に入ろうとすると、誰かが後から続いて入ろうと
しているのを感じた。
部屋の入り口の戸を閉めずにおくと、結局、誰も入ってこない。
小屋に滞在しているのは、3人。
考えてみれば、顔を知らない誰かが居るはずもない。


元旦、夜明け前に部屋の電球が煌々と灯り、俺たちは目覚めた。
誰かがご来光に間に合うよう、気を利かせてくれたらしい。
せっかくなので、近くのピークまで出かけ、初日の出を祝い、
拍手を打ち、寒さに震えながら小屋に戻った。


戻ると、小屋の中は暗い。
全ての電灯が切れ、灯らなくなっていた。
別の誰かを感じることもなくなった。