人影山守から聞いた話。 夏、山奥の斜面で草刈りをしていた時のこと。 今年植えたばかりの苗は膝下までの背丈しかなく、 遮るもの一つない炎天下で、大汗かきながら作業をしていた。 と、首筋を焦がす日差しが一瞬、フッと翳った。 やれやれ雲が出てくれたか…と空を仰ぎ見たが、 雲一つない、相変わらずの晴天が広がるばかり。 不審に思い、視線を下げて頭を巡らしてみる。 見渡すかぎり緑の苗が揺れる斜面の上を、 巨大な人影がゆっくりと横切るのが見えた。