私の体験した話。
山深い一軒家に、水道の修理で呼ばれた時のこと。
ついでに二階の便所も見てくれと言われた。
以前より、給水管がすぐに錆びて朽ちてしまうのだと。
管は確かに錆が吹きまくっていた…が、どこかおかしい。
本来錆びる筈のない材質の物まで、黒く腐食している。
とりあえず新品と交換して、その場は終わらせた。


一週間ほどして、また同じ家に呼ばれた。
行ってみると、やはり同じ箇所がうっすらと錆をふいている。
理由がまったくわからない。
施主とあれこれ相談していると、トイレの窓から何かが見えた。
宅地のそちら側は崖になっていて、その崖の上にこんもりとした影一つ。
目を凝らすと、どうやら小さな祠のようだ。


主人に問うと「おや、あんな所にあんな物があったかな?」と言う。
祠の場所は、屋敷からは二階のトイレからでしか見えない位置だった。
そのせいか落葉や朽木で荒れ放題の様子。


翌日、交換部品を手に訪れると、トイレの窓からの眺めが変わっていた。
祠付近が綺麗にされて、すっきりとした感じだ。
聞いてみると「放っておくのも気が引けたので」掃除をしたのだと言う。



不思議なことに、黒い錆はそれ以来現れなくなった。
祠と何か関係があったのか、結局のところわからない。
現在ご主人は、頻繁ではないが「まぁそこそこ」祠を手入れしていると聞く。