その友人の話
彼が山登りをしようと計画した週に、台風が直撃したことがあった。
友人は既に諦めモードだったが、彼は絶対この雨は止む、と信じていたので、
友人に計画通り荷造りしておくように電話した。
果たして当日、台風一過すばらしい青空が広がっていた。


友人は喜んだが、彼は釈然としない。感じたことのない違和感があった。
(まだ、水の気配がする。もう一雨くるのか?)
道がぬかるんでいるから、とか適当に理由をつけて彼は登山をやめさせた。


その日の夜、夕食を食べていると友人が電話をかけてきた。
今すぐテレビをつけろというので見てみると、ニュースで山が映し出された。
観光客数名が鉄砲水に飲まれて行方不明だという。
彼が登ろうとしていたまさにそのルートだった。


(この事だったのか)


彼はぞっとした。
何もしらない友人は、「俺達は運がいい」と無邪気にはしゃいでいたそうだ。