家族で山菜採りに登ったときのこと。
単独で笹藪を漕いでいると何か臭ってきた。あるポイントで強烈になる。獣臭だ。
腐臭でも糞臭でもなく、狐や狸でもない今まで嗅いだことの無い、物凄いエネルギーを発しているような臭い。やばい熊か。
リボルバーを手に構え笹より身を低くし様子を窺う。しかし音も気配もしてこない。しばらくじっと堪える。
5分ほど経つと獣臭が薄らいできた。そっと身を起こし辺りを見回して熊らしいものはいない事を確認する。
「おーい!」牽制も含め大声で家族へ熊の注意を呼び掛ける。全員の応えを聞き安心するも念のためリボルバーを一発鳴らした瞬間。
真後ろ背後1メートル位でガサッと音がした。驚いて振り返ると腰の高さの藪の中を何かが素早く走り去って行くのが見えた。
家族と合流し今起きた事を話すと、どうやら強烈な獣臭を発するキノコか何かの植物があるらしい。それだろうと。
それなら、神経を研ぎ澄ませ警戒している人間に気付かれず背後をとり、大声には動じず、
火薬に反応し素早い動きを見せた「何か」も、そのキノコのたぐいか。
もし1UPキノコだったのなら少し惜しかったかもしれない。
リボルバーはホームセンターで買いました。
熊除けグッズとして売られるようになった昔ながらのピストルのオモチャです。