<夏雲とフクロウ>


   初夏の風景


   夏空が広がった空に、

   朝早くからフクロウが鳴いている。

   女房が 「六ちゃん」 と名付けたフクロウである。

   
   朝の六時に鳴くから六ちゃんなのか、

   それともどこかの宿六に引っ掛けたのか、定かではないが、

   以前、失火で亡くなった老人の家に二本の背の高い杉の木があって、

   そこに住みついていたのが、この六ちゃんだった。

   
   失火で家もろとも杉の木も焼け落ちたが、

   そして、跡地はすっかり整地されてしまったのだが、

   その彼が、ねぐらを変え所在を換えて鳴いているのである。


   主を失い居場所を追われた六ちゃんが、近辺を離れず、

   今日もどこかで 「ホッホー・ホッホー・ホッホー」 と

   孤独で単調な声を響かせている。