<五位考>


   洞山五位に、各々下語的和讃を並べて見た。

   惜しむらくは、一位以外自前でないのが悲しい。


   洞山五位は、少なくとも 「解脱の階梯」 ではない。

   五位は、「転法輪の事態」 (依変の境) とも言うべき、

   法界透入の事蹟を顕わして過不足なきものであるが、

   その見識は、各々の機根や時節因縁を現して各位各別である。


   達磨は二入四行の方便を説き、臨済は三諦 (三句) 四料簡を表し、

   洞山禅師は五位の本領を発揮して各位各様であるが、

   その指示するところは、現今一位であり、本領無位である。


   臨済上堂して云く、

   「赤肉団上に一無位の真人有り。常に汝等諸人の面門より出入す。

   未だ証拠せざる者は、看よ!看よ!」 と。  ( 『臨済録』 三、上堂 )