<五位考>

   ――― 正偏の 「回互」 と 「不回互」 をめぐって (2)


   正偏の 「回互」 と 「不回互」 に関連して、

   修法上、或は、実際上の問題点として、

   今一つ、「執持」 (執着/所得) の問題がある。


   止住とも住著とも、或は、著有とも呼ばれる、

   境位や境地、或は、境相への 「執着」 であり、

   「固執」 であり、「有所得」 である。


   此処に、無所得の法に対する 「有所得の過失」 が生じ、

   或は、無著の法に対する 「著有の弊害」 が生じる。


   第一位に 「無生死涅槃」 (心空) を明らめ、

   生死のなかに仏あれば生死なし、を了畢し、

   第二位に 「無住所涅槃」 (法空) を明らめ、

   生死のなかに仏なければ生死にまどわず、を了畢しても、

   尚、空位に固執し執着すれば、返って 「解脱の深坑」 で、

   
   「 往々、この一位を認得すれば、以って大事了畢となし、

   以って仏道を成弁せり、と言えども、死守して放つことなければ、

   それ、これをそれ、死水裡の禅といい、棺木裡の屍を守る鬼となす。

   任使耽著して、三、四十年を経るとも独覚自了小果の窟を出るあたわず。」

   
   と、言われるのである。   (法の餓鬼)