<五位考>


   さて、舌が滑らかになって来た処で、いま少し講釈を垂れてみよう。

   それにしても、第一位 「正中偏」 で、「 怪しむこと莫れ、

   相逢うて相識らず、隠々として猶も昔日の嫌を懐くことを。」

   と言われ、 *


   * 一本に妍 (けん) とあるのは、これらが 「好嫌の情」 と呼ばれ、

   或は、「取捨愛憎の念」 とも呼ばれる、従来する 「情識」、もしくは、

   「業識」 の残照 (余習) を謂うから。  ( 聖意・凡情の残存 )


   第二位、偏中正で

   「分明に覿面して別に真なし、今更に頭に迷い、返照して影を認める

   ことを休めよ。」 と言われているにも拘らず、相変わらず 「情識」

   強盛なるは、何とも申し開きようがない。


   本来なら、人在って、第一位に是れを悟れば五位に開かれ、

   第一位に是れに迷えば、たちまち五位に迷妄するのであって、

   < 晴れば晴れ 曇れば曇る 迷悟かな > で、

   これを銀椀裡に雪を盛り、明月に鷺を蔵 (かく) す、と呼んで、

   第一位に、すでに正偏の五位を含むとするのである。