<禅の終焉>


   師、遷化に臨む時、坐に拠って云く、

   吾が滅後、吾が正法眼蔵を滅却することを得ざれ。

   三聖出でて云く、争でか敢えて和尚の正法眼蔵を滅却せん。

   師云く、已後、人有って儞に問わば、他に向って什麼とか道わん。

   三聖便ち喝す。

   師云く、誰か知る、吾が正法眼蔵、這の瞎驢辺に向って滅却することを、

   と言い訖って端然として寂を示す。   (『臨済録』 行録 二十一 参照 )



   師は臨終の時、威儀を正して坐って言われた、

   「わしが亡くなった後も、わが正法眼蔵を滅ぼすようなことが

   あってはならないぞ。」

   三聖が進み出て言った、「どうして老師の正法眼蔵を滅ぼしたり

   致しましょうぞ。」

   師、「これから先、誰かが来てそなたに問うたならばどう答えるか。」

   そこで三聖は 「かーつ」 と一喝した。

   師は、「わが正法眼蔵がこの盲驢馬のところで滅びてしまうであろうことを、

   誰が知っていよう」 と、言い終って端然として亡くなられた。

                          ( 同上、朝比奈宗源老師 訳注)