<ダルマさんが転んだ>


   上堂。 云く、

   一人は孤峯頂上に在って、出身の路無く、

   一人は十字街頭に在って、亦向背無し。

   那箇か前に在り、那箇か後に在る。

   維摩詰と作さざれ、傳大士と作さざれ。

   珍重。    ( 『臨済録』 上堂 七 )


   
   上堂して言った。

   一人は仏祖も窺えない悟りの真只中にいて、さっぱり活動の自由がなく、

   一人は現実生活の差別の中にいて、少しも執われない。

   どちらが優れどちらが劣っているか、見わけてみよ。

   前者は維摩詰であろう、後者は傳大士であろうなどとは言うまいぞ。

   やあ、御苦労さん。    ( 同上、朝比奈宗源訳注 )