<後得智の世界>


   盧山烟雨浙江潮     盧山は烟雨 浙江は潮 
    
   未到千般恨不消     未だ到らざれば千般の恨み消せず
    
   到得帰来無別事     到り得帰り来たれば別事なし
    
   盧山烟雨浙江潮     盧山は烟雨 浙江は潮


                               ( 蘇東坡 )


   
   これが、「後得智の世界」 と呼ばれる

   「清浄世間智」 (諸法実相) である。


   それは同時に、

   「転智得識」 し、「仏果現成」 する世界であり、

   還相回向 (向下) の法門であり、

   慈悲門でもある 「仏向上の事」 である。


   禅で言うなら、

   「動容に古路を揚げる」 ところ (向上) であり、

   「入纏に垂手する」 ところ (向下) である。


   此処でのこれまでの文脈に従うなら、

   観音の知見とも言える 「妙観察智」 に従って、

   観音の所作とも言える 「成所作智」 に向かうのであり、

   観世音にして観自在な 「当為」 に打って出るのである。


   当に、止むに止まざる仕儀として、

   為すべきを為し、為さざるべきを為さず、

   只々、只管に当為 (致良知) するのである。