<蝉男>


   かけがえのない連れ合いを亡くした友人がいる。

   明るい気の良い世話女房だった。

   二人の仲を知る私には、掛ける言葉が無い。


   孤独や絶望は皆同じ色をしている、と思っていたが、

   どうもそうではないらしい。


   とくに連れ合いを亡くした喪失感は、

   その虚しさとともに、特別のものらしい。


   彼は、いまだに虚空を彷徨っている。