<竜の口>


   ゆうべも滝のような雨が断続的に降り続いた。

   大河の岸辺か中洲に取り残されたような、そんな気分だ。

   深夜のことゆえ、必要以上に不安な気分にさせる。


   フッと、以前住んでいた家の 「水みち」 (水脈) のことを

   思い出した。

   裏山が、バイパス工事のために深く削り取られ、

   すっかり、水脈の用を為さなくなった水の流れない暗渠、

   その空洞を思い出したのである。


   それは、まるで大蛇の寝床か、大地の血管を想わせ、

   ポッカリと開いた穴が延々と続いている。

   水が流れていない分、生気が感じられず、

   どこか不気味な雰囲気を漂わせている。

   風水のことなど一向に興味の無い私でも、

   これが、かなり危険なことくらいはわかる。

  
   ちなみに、この水脈の流れ出る先、

   山裾の地域が、多く 「竜の口」 と呼ばれるのは

   よく知られている。