<おやじの買い物>


   昨日は、女房のお供でお中元の買い物に出かけた。

   いつものように先ず洗車して、デパートに直行した。

   今月いっぱいまで何割引きかになるというので、

   昨日あたりが、最後のチャンスなのだろう。


   お中元の催し会場は例年になくすいていたが、

   それでも待ち時間が長いので、煙草を吸いに屋上に出た。

   いつの間にか外は快晴で、夏の陽射しでいっぱいだ。

   昔見た、「太陽がいっぱい」 と言うアランドロンの映画を思い出した。

   空の青さが、そこにあった地中海の空の青さに似通っていた所為だろう。

   
   しまい込まれた記憶というのは、

   必ずしもストーリーや文脈で覚えているのではなく、

   むしろ、空の青さや風の色や匂いと言ったものに関係しているようだ。

   
   <色と匂いと音声と>

   何となくそんなことを想いながら煙草を吹かしていると、

   女房がやって来た。 

   ( ・ ・ ・ 突然、想念が途切れた。)

   
   その時、気付いたのだ。

   女房とは、私にとって現実そのものだと。

   後は、例年のようにデパート中を引きずり回され、

   買い物の品定めに付き合わされ、手荷物をぶら下げて、

   飯を食い、茶を飲んで、 延々とお話が続くのだ。