<粗忽者> 

   
   長年愛用してきた湯飲みを割ってしまった。 愛着の品である。

   女房のは萩焼の窯変もの、私のはモセ窯特有の柚子肌の備前焼、

   見込みに自然金彩の出た一品。 急須は常滑の朱泥。

   これを内の女房が、うっかりお盆ごと引っくり返した。

   「ガチャーン」

   よりによって、俺の湯飲みだけがお釈迦、後は無疵。

   「ごめん、お父さんの湯飲み割ってしもうた」

   「 ・ ・ ・ ・ ・ 」

   しばらく、口利いてやらん!