禅とは、何とも不思議な生きものである。    

   言葉で語れば、 「ちがう」 と、否定され、    

   じゃあ、黙ってればいいのか、と言うと、    

   「いつから口が利けんようになったんじゃ!」 と、    

   これも即座に否定される。    


   「ホレ、この通り」、「ご覧の通りですよ」 と、言ったところで、    

   冷たく平然と無視され、何事も無かったかのように行ってしまう。      

   拠座や端座を真似ても蹴飛ばされるだけ、    

   何も応答も返答も出来ないでまごまごしていると、    

   「この役立たず奴が!」 と、ののしられる。


   にも拘わらず、路行く人と軽く会釈を交わし、

   庭掃く老婆に茶をふるまう。


   先ずは、 「これ食うて、茶を飲め」 と。