<年寄りの冷や水> ――― 老いと現実

   
   自身にも言えることだが、老いを迎えて一番醜悪で厄介なことは、

   いつまでも過去の栄光にしがみ付き、或は、過去の悲惨や不運を嘆き、

   「かっての自分はどうであった」 とか、

   「今はこのようにみじめであるけど、本当はこうなんだ」

   と、言ったように、

   過去の自分と現在の自分とを比較しては、

   愚痴り、嘆き、見栄や虚勢を張って、

   「現にそうである自分」 を認めようとはしないことだ。


   未来への可能性が狭められ収斂の方向に向っている以上、

   過去との比較対照に向うのは致し方ないとしても、

   やはり、現在の自分、現にそうである自分を、

   正当に認知出来ないのは、致命的と言うか見ていて忍びない。