私の家は、南北に長く伸びた傾斜地の下に建っている。
傾斜地に沿って南北に通じる道路を隔てて、東に開けた小高い丘陵地である。
そこに切り通しの道が何本か東西に伸びて、人々の生活の利便を充たしている。
この南北に伸びる傾斜地に沿って風が吹く。
ちょっとした谷間になっているせいなのだろうか、
ここが、「風の道」 となっているのである。
昨日も早くに南西の風が強く吹いて、いつものようにもがり笛が聞こえた。
冬の時期は、とくによく聞こえる。
「ひゅうひゅう」 とか 「ひゅるる」 とか、何とも悲しげで切なく聞こえるときもあれば、
「びゅうびゅう」 とか、或は、「ごうごう」 と家を巻き込み巻き上げるように、
強く吹きすさぶときもある。
それを夜半に聞くときなどは、まるで狂った生きものが家の周りを徘徊しているようで、
すごく不気味で、風が舞っているのがよくわかるのである。
南西の風が強く吹くときは、大概、次の日は雨だ。
昨日から降り続いた雨もようやく午後には上ったようだ。
春はもうそこまで来ている。