<ムードとモード>
―――― 心理的ムードと形式的 (様態的) モードからの撤退
実践的な行道であり禅定である禅的プロセスを、
単に思弁的、論理的に捉えて言表することの是非はひとまず措くとして、
禅的プロセスが鮮やかに開示し示現して見せる所の禅的スタイルは、
絶対否定を媒介とする場の脱構築のプロセスに似て、
「無心の自己」 (脱ムード) から 「無心の現在」 (脱モード) へと
下降的・解脱的に自己を還元する。
このようにして自己還元し脱落した 「バックグラウンド」 (共生の原野)、
或は、「真地の風光」 とも呼ばれる 「無心の現在」 (如来地/真底) から、
今再び、自らを反照しつつ支持・構成する 「無心の自己」 へと
自己を還相回向して来るところには、
「場の破れ」 という絶対否定を介在させながら成立する
生成のダイナミズムとも存在のムーブメントとも呼ばれる
「存在の秘蹟」 (存在の秘密) が、一機に解き明かされる。
これが、 <トリック・スター> (自我) からの解脱であると共に、
あらゆる情緒的な心理的ムードからの脱却である 「無生死涅槃」 を開示しつつ、
機能的で様態的な位相的モードからの脱却である 「無住所涅槃」 を示現する
本来の面目であり、<心慧の解脱> を成就しつつ顕現する本真の自己である。