書庫: 龍のすみか 所収
   


   ≪老いについて≫


   
   最近、自らの老いと向き合うことが多くなりました。

   日常する生のなかに老いを感得するのであり、

   その向うに病と死とが透けて見えるのです。


   多少の抵抗や戸惑いはありますが、必ずしも嫌っている訳ではありません。

   出来るだけ受け入れ、折り合いをつけて行こうとは考えていますが、

   それでも、時には情けなく悲しい思いに晒されることもあるのです。


   これまでも、視力や体力の衰えは感じていましたが、

   <老い> を感じることはなかったのです。

   それが、ここに来て急に老いと向き合うようになったのです。

   
   なにか不思議なものに出会った感じです。

   それまで出会ったことのないものにいきなり出会い、

   <これがお前さんだよ> と、

   まるで突然、隠し子か何かを突きつけられたような、

   そんな戸惑いを感じるのです。


   初老、そんな言葉がぴったりな時節を迎えたのです。