書庫: 龍のすみか 所収
   


   ≪盲目の力≫

   ――― あるいは、「力の恐さ」



   人を殺す力と人を救う力は、同じ力である。

   差し出す手と手放す手は、同じ手である。

   悪行と善行とは、力に於いて同じである。

   
   <力に差異 (差別/善悪) はない。>

   
   これを、力の無分別 (無知) と言い、

   無差別 (絶対平等性) としている。

   力に於いては、皆、無差別平等・無分別と言う訳である。


   
   力の恐さ、或は、力の危うさは、

   この無差別で無分別なところにある。

   力には、いまだ理性もなければ教養もない。

   ただ、チャージ変換され情動化された感情と、

   その意力 (意趣/意向) のみが伝えられる。

   
   しかも、この力は時代を超え場所を越えて普遍化し持続している。

   いわゆる、時代感覚もなければ歴史認識もなく、

   場所と状況をわきまえぬ、絶対無差別平等性 (悪平等性) を開示している。


   また力は、ひとえに我が事のみの情動 (場の事情) に正直である。

   場を破壊する力 (破る力/解き放つ力) と、

   場を生成化育する力 (つなぎ止める力) とが、

   同一事態性を開示するように。


   
   此処には、いまだ自己制御の利かない前時代的なマシーンが

   大手を振って闊歩している。

   
   たしか、

   完全なオートマチック・マシーンと言うフレコミの筈だったが ・・・