書庫: 龍のすみか 所収
   


   ≪モンスター≫


   もし、このような個人史に彩られた 「赤の記憶」 が、

   吹き出す凄惨な血の色であったり、幼少期の火災や震災、

   あるいは、空襲時の燃えさかる業火などであった場合、

   この人は 「赤の記憶」 に、一体どのような反応を見せるのだろう。


   また、これら 「記憶の原形」 にまつわる原体験が、

   ネグレクトであったり、陰惨なイジメや存在否定の内に

   ネガティブな生を感得していたとするなら、

   この人は、自らの将来にどのような希望を見出すのだろう。


   これら 「初期値敏感性」 とも 「初期値入力性」 とも言える

   オフ・ライン下で入力される記憶の原形質が、

   うとましくも悲しい感情 (情動/恐怖) を伴なった記憶の断片として、

   あるいは、タブー化された記憶の痕跡 (殺意や憎悪) として封印されたなら、

   この人の人生は、一体どのような方向性と熱意と色合いを持って

   自己傾向化 (自性化) されるのだろう。