書庫: 夏休み中の寸言居士 所収
   


   日中の陽射しを避けて、

   朝早く郊外の霊園へ盆前の墓掃除に出かけた。

   すでに幾組みかの家族が来ている。

 
   婆さんを連れ出しての外出は久しぶりだ。

   まんざらでもなさそうに場を仕切っている。

   わたしは、家から持ち出したタワシで

   ゴシゴシやっている。

   草を引き、水を打ち、花を活けて、

   線香を手向ける。

   ただ、それだけのことなのだが、

   妙に気分が落ち着く。


   自分の出生に脈絡があり、

   来歴があることを知るだけで

   奇妙に安心するのだ。

   
   途中、三匹の猿を見かけた、

   どうやら、夏の餌場にしているらしい。