書庫: 夏休み中の寸言居士 所収
   


   ≪自制 (自己制御) の利かない自由など、自由とは呼ばない≫


   被爆から六十三年、今年も暑い夏がやって来た。

   懲りることもなく、自制も利かないままに、

   還暦さえ越えて、先送りのマジックの中に耄碌し始めている。

   
   毒入り餃子を見栄えのよいパッケージとコピーに包み込んで・・・



        *        *        *



   ≪迷宮入り≫


   生命尽きた蝉の死骸がころがる。

   
   死もまたその生と同様に、

   かすかな存在の痕跡だけを残して風化する。

   頭と尻尾、生成と消滅、

   この手掛かりのない捉えられぬもの。


   ――― 一箭西天を過ぐ。