書庫: 夏休み中の寸言居士 所収
   


   今朝は、六時に目が醒めた。

   エアコンのタイマーが切れて、

   寝苦しくて目が醒めたのだ。

   室温は、すでに30度を上回っている。

   一向に朝の冷気が感じられない。

   いらだたしく雨戸を開けていると、

   バァさんが顔を出した。

   
   「おはようさん ・・・

   今朝は涼しいねー」

   
   碌にまともな返事もせず、

   庭に下りて、目いっぱい水を撒いた。



       *        *        *



   「暑い」 と言うと、「涼しい」 と言う。

   「寒い」 と言うと、

   「わたしゃフトコロに懐炉を入れているので、ちっとも寒くない」

   と言う。

   これが、私どもの年柄年中の会話だ。

   
   いつの間にか、わたしはバァさんに向かって、

   暑い寒いと言った、気候のあいさつをしなくなった。

   
   ――― いつまでも、相手になってくれると思ったら、

   大間違いじゃ!!


   
   ( きっと、向うも同じことを思っているに違いない ・・・ )