≪場のふるまい権 所収
   


   ≪無何有の郷≫

   
   ――― 国破れて 山河在り

   城春にして 草木深し ・ ・ ・     (杜甫)

   


   それにしても ・ ・ ・

   こんなものが、いったい何の役に立つと言うのか。

   
   ――― おそらく、何の役にも立つまい。


   
   世界が、こんなにも様々な矛盾と混乱を抱え、

   問題を抱え、困難や危機に直面していると言うのにか ・ ・ ・

   
   ――― そうだ。



   では、まったく無意味ではないか。


   ――― そう言うことになる。



   しかし ・ ・ ・

   世間のあらゆる無知や迷妄、矛盾や混乱、

   あるいは、世界のすべての貧困や不幸や悪行の数々が、

   何処から始まり、どのようにしてハビコったかが解れば、

   
   そして、

   家庭のあらゆる不幸や混乱が那辺に始まり、

   那辺に終わったのかが解れば、

   おそらく、<他人事ではない> と知れるだろう。


   
   自明性 (正覚/実際) の喪失が、

   或は、非自明性 (無明/迷妄) の現前化が、

   どこから始まり、どこで終わるのか ・ ・ ・

   
   この一大事が解れば、

   人は皆、一人一人の <自己問題> として

   一見、無意味とも無駄とも無益とも見える

   無有疑な 『自明性の現在』 に屹立する。