≪場のふるまい権 所収
   


   <愛と憎しみの果てに>

   
   先月、妻と共に末っ子の卒業式に参列するため岡山に出掛けた。

   同じ日、岡山駅で十八歳の少年に依る

   在来線ホームでの突き落とし事件があった。

   漠然とした動機の中で、通り魔的な無差別殺人が、

   東と西で立て続けに起ったのである。

   宅間守の附属池田小事件以来、この種の事件が頻発している。



   それ(テロル)は、外からやって来るのではない。

   いつも内からやって来るのだ。

   
   愛し、愛されるものが、

   裏切り、裏切られることで、

   破壊し、破壊されることで、

   愛の真裏で、そっと怨恨と憎悪が芽生える。


   ( まるで、愛憎相半ばするアンビバレンツな生を生きる

   ジギル氏とハイド氏でもあるかのように・・・ )

   
   
   いつ果てるとも知れない

   表裏する愛と憎しみの連鎖のなかで、

   決して癒されることのない

   破壊的衝動を伴なった恨みつらみの連鎖 

   
   ――― 自己内外に向かう、テロルと言う名の

   <暴力と報復の連鎖> が広がっていく。