≪何言うてんねん≫ 所収
    


    『至道無難』 (5)


   
    良由取捨     良(まこと)に取捨に由る

    所以不如     所以(ゆえ)に不如なり

    莫遂有縁     有縁を遂(お)うこと莫れ

    勿住空忍     空忍に住すること勿(なか)れ

    一種平懐     一種平懐(へいかい)なれば

    泯然自尽     泯然(みんねん)として自(おのず)から尽く


   
                  (『信心銘』(二) 「違順」より )



   
   < 良(まこと)に取捨に由る 所以(ゆえ)に不如なり >


   アレコレと選り好み(わがまま/好き嫌い)ばかりするから

   ままならない(真如の道を外れる)と言われる。


   
   < 有縁を逐うこと莫れ 空忍に住すること勿れ >


   ここは、『解脱の陥穽』 (落とし穴) とも言うべきで、

   <有縁を逐う> を 「常見」 (常住の見) と為し、

   <空忍に住する> を 「断見」 (断滅の見) と為して、

   これら、両辺から脱却(離脱)して

   
   < 一種平懐なれば 泯然として自から尽く >

   
   と、言われる。



   ――― いわゆる、

   「有無の見」 (有相/無相の見) とも呼ばれる、

   両辺する 『偏見』 (断・常の見) から脱却して、

   普段どおりの 「平常心」 (覚的現況位) で居れば、

   あたかも 「廓然無聖」 と言われる如くに

   「寂滅為楽」 (諸法実相) で居られる ――― と言うのである。