≪愛のゆくえ≫ 所収


 
  愛されたい! ( ・・良くみられたい )

 
  相手に良く思われたい! ( ・・良くみせたい )


 
  これが、かっての私の第一義的な関心の的だった。

  「愛すること」を覚えたばかりの頃の「処世」であり、

  「処方」でもあった。   ( 媚を売る私 )


  それが、親であれ、世間であれ、異性であれ・・・、
 
  私は、一貫してそのように振る舞い、そのように対処したのである。


  しかしこれが為に、私は多大な労苦(浪費/徒労)と虚偽(虚勢/虚栄)を

  自らに演出し、その倒錯と錯誤(顚倒妄想)の歴史を歩みだしたのである。


  ただ「愛されたい」ばかりに、虚勢を張り、虚栄や虚言を飾り、

  その「虚偽」と「擬態」とに終始したのである。


  彼女の愛を手に入れんが為、或は親や世間の評価(認知)を

  手に入れんが為に、その虚偽と虚言と擬態とによって

  自らを見失ったのである。


  ――― まるで、「そのままの自分」ではダメな者でもあるかのように

  倒錯した自我を膨らませつつ、「愛すること」を見失ってしまったのである。