平成18年5月13日(土)       ≪転生譚≫ 所収
 


 
  ・・・ ある智識ののたまはく、なま禅大疵のもとひとかや、

  いとありがたく覚えて  

   
  < 稲妻にさとらぬ人の尊さよ >  (芭蕉)
  
 
 
 
 ――― 年がら年中「佛々神々・・」言っておきながら、
 
 今更、稲妻にさとる面倒も要るまい。

 
 ここじゃ、「見色明心」も尋常なら「聞声悟道」も尋常、ましてや、「観音に鬚なき」も
 
 これ又尋常なれば、一体全体 「何のための修行ぞ」 といぶかる向きも多いと思う。
 
 
 しかし考えても見るがいい、「昨日まで“ピイピイ”鳴いていたのは誰なのか」 と。 *

  
 たとえ、「悟は未悟に同じ」とは言え、この「未悟」、ただならぬ未悟として、
 
 迂闊なる「悟」の錯誤を超えて、はるかに「平凡の徹」である。

 
  * 『無門関』四「胡子無鬚」 同十六「鐘声七条」参照