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「一票の格差」は「常に在る」モノで、何時如何なるも、攻撃材料。ー【朝日社説】一票の不平等 国会の正統性の問題だ
先の衆院選が終わり、「一票の格差」を非難する社説を、朝日が掲げている。まあ、「朝日の逆が、大抵正解」なのだが。
(1)【朝日社説】一票の不平等 国会の正統性の問題だ
一票の不平等 国会の正統性の問題だ
社説
2024年10月30日 5時00分
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写真・図版
27日にあった衆院選の「一票の格差」をめぐる裁判について記者会見する升永英俊弁護士(中央)ら=2024年10月28日午後、東京・霞が関、米田優人撮影
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国民の代表といえるのか、早々に疑義が上がっている。
選挙区ごとの「一票の格差」が最大2・06倍だった衆院選は憲法の平等原則などに違反するとして、無効を求める裁判が、各地の高裁・支部で起こされた。
憲法前文は「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し」という言葉で始まる。選挙制度の欠陥のために、個々の国会議員が代表する国民の数が大きく違えば、国会の多数決と国民の意思に見過ごせないずれが生じる。議員は自らの存在の正統性の問題ととらえて臨むべき問題のはずだ。
ところが14日現在、有権者数が最も多い北海道3区(札幌市の一部)在住の人の一票の重みは、最も少ない鳥取1区(鳥取市など)の人の半分にも満たない。
衆院選の格差は、21年2・08倍、17年1・98倍と2倍前後に貼りついてきた。
深刻なのは、今回が、都道府県への定数配分に人口比を反映させやすい「アダムズ方式」を導入し、過去最多の140選挙区で区割りを変えて臨んだ初の選挙だった点だ。
従来の、都道府県に定数1をまず割り振る「1人別枠方式」が格差の原因と最高裁に指摘され、10年以上かかった見直しだが効果は薄かった。
今回の区割りは、22年6月の衆院議員選挙区画定審議会の勧告をふまえた同年11月の公選法改正で決まった。施行時、20年の人口をベースに格差は1・999倍に縮小すると説明していたが、都市部への人口流入が進むなか、漫然と招いた2倍超えと映る。
区画審設置法は、格差が2倍以上にならないよう求めているが、国会は自ら決めたそのルールさえ守れていない。
そもそも憲法が求める投票価値の平等からすれば、2倍未満ならいいわけではない。アダムズ方式でも都市部の有権者の不利益には対応できなくなる可能性はかねて指摘されており、「一人一票」に近づく抜本的な是正に着手しなければならない。
裁判所も、今回こそは厳格な審査を求められる。過去2回の衆院選をめぐる同種の訴訟で最高裁は、その時点でアダムズ方式導入を決めていた国会の姿勢などを評価し、「合憲」と判断した。結果的にそれが、国会がそれ以上の是正を進めなかった要因となっていた。
自分が選ばれた選挙制度を変えることに、国会議員は消極的になりがちだ。議員と国民の利益に対立をみるテーマである。司法による国会へのチェック機能が、ひときわ問われている。
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(2)「一票の格差」無くすは、簡単だ。全国区比例代表のみにする。
章題にした通り、「一票の格差を無くす」には、「全国区の比例代表選挙」で全議員を選べば良い。投票用紙には、党名だけ書いて投票し、全国で投票数を集計して、比例代表で議席を各党に割り振る。各党は、当然予め提出したリストに従い、リスト上位から順に議員にする。これで、「一票の格差」は、無くなる。
であるから・・・なのだろうなぁ。所謂「一票の格差」を計算するには「全国区比例代表制」は除いている、と、何処かで読んだ記憶がある。左様な計算法であるならば、「一票の格差がある」のは、至極当然であろう。
現状は、「一票の格差を(普通は)生じる選挙方法」と「一票の格差を生じさせない全国区比例代表制」とが混在しているから、それらをひっくるめて「総合的な一票の格差」を計算するのは難しかろう(*1)が、この計算方法では「全国区比例代表制の議席数を幾ら増やそうとも、”一票の格差”とは、関係ない」事になる。
どうも「一票の格差」の評価方法として、不当な気がして仕方ないんだが。
更に言えば、「完全全国区比例代表制」にも、当然ながら欠陥はある。大凡人間のやること為す事で「欠陥が無い」モノなんざぁ、無い。「完全全国区比例代表制の欠陥」として即座に思い付くのは、「政党を為せないような個人や、弱小政党からの立候補・当選が、難しい乃至不可能なこと」が挙げられよう。既存の政党で言うと、社民党なんざぁ、消滅しそうだ。別に惜しいとも残念とも思わないが。
「一票の格差を無くす」事だって、当然欠点・欠陥は、在る。如何なる方策をとろうとも、「一票の格差を無くす」と言うことは、「有権者数と正比例的に影響力がある」と言うことであり、必然的に有権者数の多い都市部や首都・東京の影響力が大きくなり、農村部・地方の影響力は小さくなる。それは、首都や都市部に有利・優位な政策や法制や予算となることは、必然だろう。
それよりもなによりも、私(ZERO)の知る限り、「完全比例代表制」以外の如何なる選挙法にも、必ず何らかの「一票の格差は、在る」モノであり、「一票の格差を付ける選挙法」である。左様な「一票の格差を付ける選挙法」が、現行選挙法を含めて採用されるのは、「都市部や首都の政治的影響力の過大化を防ぐため」でもある。「地方区の小選挙区」ってのは、正に左様な効果効能を持つモノだろう。
であるならば、「都市部や首都の政治的影響力の過大化」を問題視する限り、「一票の格差」は「在って当然」である。
「一票の格差を無くす」ならば、「都市部や首都の政治的影響力の過増大」は、甘受・看過しなければならない。
上掲朝日社説は、「一票の格差を無くせ」と主張し、「国会の正統性の問題」とすら主張している訳だが・・・私(ZERO)の見るところ、それは、「”一票の格差”問題ならば、常に政府と選挙制度を非難できるから」だと思われる。つまりは、非難するための非難であり、平たく言えば、イチャモンだ。
「私の一票と、他誰かの一票で、重みが違う!!」と言うのは、俗耳には入りやすかろう「政府/現状批判材料」ではあるが、「一票の格差が無い状態」とて別に理想郷ではないし、相応に欠点も欠陥もある。
要は、「一票の格差」とて、他の多くの問題と同様に、「バランスの問題」と言うことだ。
これは、「今の選挙制度、及び現状の"一票の格差"」を肯定するモノでは無い。だが、単純に、何の前提条件も付けない「一票の格差を無くせ!」って主張は、先ず愚論暴論の類いである、と意識・認識すべきであろう。
ま、私(ZERO)なんざぁ、「朝日の社説」ってだけで、「愚論暴論の公算大」と、考えるけどね。
- <追伸> そう言えば、先頃投票され、トランプ氏が次期大統領に選出された合衆国大統領選挙ってのは、「各州に割り当てら得た選挙人を、その州に住む米国人が投票して決める」制度で、投票先が共和党と民主党の二つしか無いし、「一票の格差が大きそうな選挙制度」だよな。
- まあ、「他国の一票の格差」なぞ、下手に非難するのは「内政干渉」だけどな。
- <注記>
- (*1) それでも、それぞれの選出議席数で重み付けするとかして、計算出来そうだが。