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ようやくの、事故で、負傷者すら無いが。「危険な欠陥機」は、どうしたよ。 ー陸自オスプレイ「事故」に対する沖縄二紙社説
オスプレイとは、人類史上初の実用ティルトローター機であり、「回転翼機の垂直離着陸性能」と「固定翼機の高速・航続距離性能」とを併せ持とうという、画期的な航空機である。
ティルトローター機の構想は、存外なくらいに古く、殆ど回転翼機=ヘリコプターの黎明期(*1)まで遡れるのだが、コンセプトや、試験機・実験機としては種々作られたモノの、実用的な輸送機として具現化・具体化したのはオスプレイが人類初の史上初だ。
それだけ「無理のある設計」とは評せそうだが、無理をするから突破もある。無理をしない無難な事だけやっていたら、零戦の偉業も無かったろうし、単葉機も全金属製航空機もジェット機も、実用化は相当遅れたろう(*2)。
画期的にして人類初の部分もある輸送機たるオスプレイは、再三報じられる通り開発中にも死亡事故を起こしているし、輸送機の中でも人員輸送を主な任務とする機体だけに、死亡事故を起こすと死亡者数が多い傾向にもある。
オスプレイは「人員輸送を主たる任務とする輸送機」として量産・配備されているので、「一度死亡事故が起きれば、死亡者数が多い傾向にある」事は、今も変わりは無いし、その任にある限り、変わりようも無いだろう。
だが、米軍はその所属機の機種毎の「事故率=一定飛行時間当たりの事故件数」を統計とって公表公開しており、オスプレイの事故率は他機種と比べて特に高い訳ではない、事も公開・公示している。従って、既に配備され、沖縄駐留米軍にも陸上自衛隊にも装備されているオスプレイの飛行安全実績が、正に「危険な欠陥機」などと貼られたレッテルを打破し、「未亡人製造機」なる俗称をも、粉砕している。
だが、飛行機は、飛行機だ。空を飛んでいる以上は「落ちる可能性がある」。これは何も、オスプレイにも軍用機にも限った話では無い。民間機だって、旅客機だって、報道ヘリだって、空を飛んでいれば「落ちる可能性は、ある」。
で、だ、今回陸自配備のオスプレイが「事故を起こした」。負傷者すら出て居らず、被害額によっては「軽微な事故」に当たるかも怪しい(*3)が、沖縄二紙の社説と来たら、こうである。
- <注記>
- (*1) レオナルド・ダヴィンチには「人力ヘリコプター」らしきコンセプトが見られる。「回転翼機の黎明期」をルネサンス時代まで遡られると、流石にティルトローター機は適わない。
- 此処で言う「回転翼機の黎明期」は、実用ヘリコプターが登場する第2次大戦直後頃と、想定されたい。
- (*2) これらは全て、戦闘機として初実用化された。何れも、当時としてはかなり革新的・画期的な「無理をした技術」だ。
- (*3) 「事故以前/事故未満の事象」たる「インシデント」である、可能性も、ある。
(1)【沖縄タイムス社説】陸自オスプレイ事故
沖縄タイムスプラス
2024年10月30日(水)04:00
与那国町の陸上自衛隊与那国駐屯地で、陸自の輸送機V22オスプレイが離陸直後にバランスを崩して機体の一部を損傷した。
陸自のオスプレイが事故を起こすのは初めてだ。
搭乗していた日米の隊員計16人にけがはなかった。
同じ構造の米軍オスプレイで重大事故が相次いでいることを考えれば、陸上幕僚監部の事故調査委員会は速やかに事故原因を究明し、公表すべきだ。
事故機は23日から始まった日米共同統合演習「キーン・ソード25」の一環で、災害の被災者を輸送する訓練中だった。
目撃者が撮影した映像を見ると、事故機は離陸後にバランスを崩し、機体を左右に揺らしながらゆっくりと降下。着陸前に大きく機体を左に傾かせ、左翼を地面に接触させた。
一歩間違えれば重大事故につながりかねない事態である。
事故を受け、防衛省は陸自オスプレイの飛行を見合わせた。安全対策が取られるまで、任務飛行を除き、飛行は再開しない方針という。
今回の事故は、鹿児島県屋久島沖での米空軍オスプレイの墜落事故を受け、予防点検を講じた中で発生している。
演習中には、別の陸自オスプレイが海自の鹿屋航空基地に緊急着陸する事態も起きている。
今回の事故を軽視すべきではない。
原因究明と抜本的な安全対策が講じられるまで全ての飛行を停止すべきだ。
■ ■
陸自は事故前日、与那国町の町議や公民館長らをオスプレイに搭乗させて、島の周辺を周遊する計画を立てていた。
天候不良で取りやめになったが、事故機に住民が乗り合わせた可能性もあり、軽率な計画だったと言わざるを得ない。
屋久島沖での墜落事故では、乗組員8人が死亡した。事故後の調査で変速機の内部で歯車が破断していたことが判明したものの、破断そのものの原因は特定されないままとなっている。
また今回は、事故の公表も遅かった。事故が起きたのは衆院選投票日の午前11時38分ごろだが、事故が公表されたのはそれから9時間近くたった午後8時半だった。
意図的な情報隠しはなかったのか。公表が遅れた経緯についても説明が求められる。
■ ■
オスプレイを巡っては、開発段階から墜落などの重大事故が相次ぎ、機体の構造的な欠陥が指摘されてきた。米国外からの調達数が伸びず、唯一調達を決めたのが日本だった。
そうした中、生産ラインの閉鎖も取り沙汰される。米国防総省が製造元と契約を結んだことで少なくとも2027年6月までは生産を維持するとされるが、先行きは不透明だ。
仮に生産終了となれば整備などへの影響は避けられない。 オスプレイの陸自配備を進めた日本政府の判断は妥当だったのか。その検証も求められる。
(2)【琉球新報社説】陸自オスプレイ事故 共同統合演習を中止せよ
【琉球新報社説】陸自オスプレイ事故 共同統合演習を中止せよ
陸自オスプレイ事故 共同統合演習を中止せよ
https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-3598513.html
公開日時
2024年10月30日 04:00
#社説
<社説>陸自オスプレイ事故 共同統合演習を中止せよ
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自衛隊と米軍による最大規模の実動演習となる共同統合演習「キーン・ソード25」に参加するために与那国島に飛来した陸上自衛隊の輸送機オスプレイが機体を地面に接触させた。機体の損傷を伴う事故だ(*1) 。構造上の欠陥が指摘され、事故が相次ぐオスプレイの運用自体が県民の不安を増幅させている。米軍のオスプレイも参加している統合演習を直ちに中止するべきだ。
オスプレイはその構造上、離着陸時に強い吹き下ろしの風が生じ、機体が不安定になりやすいことが指摘されている(*2)。今回の事故は27日に陸自与那国駐屯地内で離陸する際に起きた。飛び立つ機体が左右に揺れて左翼下部が地面に接触した。事故調査を待つことになる(*3)が、専門家らの指摘通りの現象による事故であることが想定できる。
普天間飛行場に配備されている米海兵隊のオスプレイに加えて、陸自のオスプレイが演習参加のため県内に飛来すること自体が負担の増加である。県は統合演習に当たって自衛隊、米軍のいずれのオスプレイも使用を自粛するよう求めていた (*4)。
そこに今回の事故が発生した。防衛省は11月1日までの統合演習にオスプレイを使用しないことを決めた。当然だ。ただ、米軍のオスプレイは引き続き演習に加わっている。県民の不安が理解されていないと言わざるを得ない。
林芳正官房長官は与那国での事故を受けて「地元の不安や懸念を払拭するため、引き続き関係自治体へ丁寧に説明していく」と述べた。決まり文句を繰り返しているようにしか聞こえない。
そのように考えているのであれば、不安や懸念を払拭する一番の対処法はオスプレイを飛ばさないことだ。陸自オスプレイの訓練参加をやめても、米軍所属機は運用を続けるというならば、閣僚らが来県して、その理由を明確に説明してもらいたい(*5)。
共同統合演習は全国各地で行われるが、鹿児島から沖縄での訓練が計画の中心だ。
日米で約4万5千人が参加し、那覇、新石垣、与那国の3空港と中城湾、那覇など五つの民間港を使用。加えて人員輸送で宮古空港も使う。
防衛省は特定の国を対象にしたものではないと説明するが、制服組トップの吉田圭秀統合幕僚長は「力による現状変更をインド太平洋では決して認めないという強い意志を示す」と述べている。狙いは中国をけん制することにあるのが明白だ(*6)。
加えて民間空港・港湾使用の実績を積み重ねる狙いがある。参加人員は2年前の3万6千人から大幅に増えた。南西諸島を日米軍事一体化の拠点とすることは、中国のけん制という思惑を含め、地域の緊張を高めることにつながる。民間インフラの使用による住民生活への影響も避けられない。林官房長官が言う「不安の払拭」の最善策は、訓練の全面中止である(*7)。
- <注記>
- (*1) オスプレイ自衛隊配備以来初の事故ではないかな?「危険な欠陥機」が、だぞ。
- (*2) 左様な条件下で「機体が不安定になりやすい」のは、オスプレイに限った話では無いだろうに。
- (*3) って事は、目立った損傷も無く、検査しないと「壊れたかどうかも判らない程度」ってことじゃぁ、ないのかね。
- (*4) 飛行機が飛ばなきゃ、訓練にならんだろうが。訓練妨害のテロリストめ。
- (*5) 今回「事故」を起こしたのは、陸自機です。機体も運用組織も異なる米軍機は、直接関係はありません。QED。で、沢山だ。
- (*6) それ即ち、「沖縄は、守る」という意思の表れであり、「沖縄は、本土の捨て石ではない」ということだろうに。
- (*7) 全く、絵に描いたような「中共の手先」だな。
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(3)「落ちない飛行機」は、「飛ばない飛行機」ぐらいだぞ。
今回初めて知ったのだが、ティルトローター機ってコンセプトは、第2次大戦は疎か、第一次大戦以前まで遡れる、そうだ。スイスの「デュフォー三葉機」ってのがそれで、実機を作ったは良いが、全く飛行しなかった/出来なかった、らしいが・・・それでも、新たなコンセプトを実際に試そうって、その心意気は、買えるじゃぁ無いか。
それに引き換え、上掲社説に見る沖縄二紙と来たら、どうであろう。オスプレイに対する実にヒドい評価・論調。更には琉球新報の言いがかりは凄まじい。「沖縄は強請の名人だ。」と発言した米高官だが米軍人だかが物議を醸し、謝罪に追い込まれた事件があったが、上掲沖縄二紙社説なんざぁ「強請の名人ぶり」を、美事に発揮していよう。
陸自オスプレイ機の「事故」にかこつけて、米軍を含めたオスプレイ全機の飛行停止、更には今正に始まろうとしている日米共同統合演習の中止まで「強請り取ろう」ってんだから、呆れる。
まあ、上掲沖縄二紙社説にも見られる「反オスプレイキャンペーン」に、「如何にオスプレイ配備が中共にとって不都合か。」を、見るべきなのだろうな。
想起すべきだ。オスプレイ沖縄配備前の沖縄二紙はじめとする「反基地団体」の「オスプレイ沖縄配備(だけ)反対キャンペーン」を。
「沖縄県民大会決議」なるモノを出して、その中にはっきりと「オスプレイは危険な欠陥機だから、沖縄配備(だけ)反対」と、文言で明記明文化した。ああ、「(だけ)」と言うのは、私(ZERO)が補足追記したモノだが、「危険な欠陥機オスプレイ」に対し、飛行停止も運用停止も求めずに「沖縄配備反対」だけしているのだから、「(だけ)」と言う補足追記は、至当というモノだ。
端的に言って、「沖縄県民大会決議」なるモノは、「危険な欠陥機オスプレイが沖縄以外の何処に落ちて何人死のうが知ったことではない。」と言う、非人道的なレベルでの利己主義の公言である。「恥を知れ。」と言いたいね。
平安名純代記者の短期集中連載署名記事「崩れた安全神話」も凄まじかったな。弊ブログでも記事にしたが、「オスプレイの安全神話を崩す」どころか、かすり傷一つ付けたかどうかに終わった(*1)上に、「沖縄二紙が引用する”専門家”が、リボロ氏はじめとして、如何にインチキでまがい物であるか」を明々白々にしてくれた。まあ、その点では、「良い記事」とも言えるのだが。
で、だ。今回の「陸自オスプレイ事故」に対して、上掲沖縄二紙は随分と否定的なニュアンスでオスプレイを表記描写しながら、「オスプレイは危険な欠陥機だ」って明記・明言すらないのだが、一体どう言う訳かね。
或いは、「オスプレイは危険な欠陥機」と明記・明言した「沖縄県民大会決議」を、少なくとも一時期沖縄二紙は絶賛礼賛していたのだが、その絶賛礼賛は誤りとして撤回する/した、のかね?
或いは、今般の様な「事故」こそ、「オスプレイに6つの構造的欠陥」を主張した「リボロ氏」の出番、では無いのかね?今度はどんな「欠陥」を言い出すか、少なからず楽しみなんだが。
ああ、「崩れた安全神話」で「オスプレイにホバリング高度制限があるのは、輸送機として致命的な欠陥だ(*2)。」と断言した「専門家(リボロ氏では、無かったと思う。)」も、忘れるなよ。
<注記>
(*1) そう言えば、「オスプレイの調達(予定)数と配備数の差分は、オスプレイの大量墜落を隠蔽している可能性があるぅぅぅ!」って話は、どうなったんだぁ?
(*2) これが「専門家の発言」として記事にされ、デスクも通って、紙面に掲載されたんだから、凄いよなぁ。
(1) 先ず、世の輸送機の大半は固定翼機で、ホバリングなんてできない。ホバリングできないことを、「ホバリング高度制限が無い」と呼ぶのは、殆ど詐欺・詐称である。
(2) 次いで、輸送ヘリは、当然ホバリング能力があるが、ホバリング高度制限も、ある。「ホバリング高度制限の無い輸送ヘリ」などと言うモノは、無い。
従って「ホバリング高度制限があることは、輸送機として致命的な欠陥」という主張は、一体何を言っているのか、サッパリ判らない。
(3) 大体、「ホバリング高度制限が無い」且つ「ホバリング能力がある」ならば、「ホバリングは高度にかかわらず可能」な筈であり、「ホバリングで大気圏脱出(少なくともその寸前まで)できる」筈である。
(4) 更に考察を進め、「ホバリング高度上限が無い」のは「ホバリング高度上限」と「実用上昇限度」が合致一致している、の意味と解釈とした、としても・・・・
- ① ホバリングとは、本機の場合(確か)プロップローターと呼ばれる「プロペラ兼ローター」の発生する推力と自重が均衡した状態である。「ホバリング高度上限」では、その高度で発生する最大推力と自重が均衡している。
- ② 固定翼機の水平飛行の場合は、主翼の発生する揚力と自重が均衡している。この時の推力は、その時の速度を維持するための「抵抗を打ち消す力」であり、大凡「自重の10分の1程度」である。
- ③ 「実用上昇限度」とは「水平飛行を維持できるギリギリの高度」である。
- ④ ホバリング高度上限でホバリングしているオスプレイが、固定翼機モードとなって水平飛行に遷移したとする。この時オスプレイのプロップロータは最大で「自重に釣り合うほどの推力」を発生する筈であり(だからこそ、ホバリングも出来た。)、これは「水平飛行に必要な推力=抵抗に釣り合うほどの推力」よりも遙かに大きい(約10倍)。これは「余剰推力がある」と言うことであり、「更なる上昇が可能」であるし「更なる加速が可能である」と言うことである。
- ⑤ 従って、「ホバリング高度上限」と「実用上昇限度」が「合致する」と言うことは、あり得ない。「実用上昇限度の方が、高い。」
(1)は殆ど常識論。(2)も、一寸した「航空ファン」ならば気づくだろう。(4)は「かなりのマニア」で無ければ気づかないかも知れないが、「専門家には、当然要求されるレベル」である。
ああ、(3)こそ、常識論、なんだがなぁ。コイツに気づかないとは、「相当な間抜け」だ。
つまり、平安名純代記者にも、デスクにも、驚くべき事にその引用して見せた「専門家」にも、「航空ファン程度の知識」も無ければ、常識も無かった、と言うことだ。
知識は兎も角、「常識が無い」のは、報道機関として、そもそも失格だろうが。