• 映画「Zulu」 挿入歌 Men of Herlech

 マイケル・ケイン。金髪碧眼の優男。
 だが、戦争映画ファンである私(ZERO)は、「タダの優男ではない」マイケル・ケインをアレコレ知っている。映画「勝利への脱出」では「捕虜収容所のサッカー監督」を演じて、まあ「ヤサ男ぶり」が目立ったが、「国際諜報局 The IPCRESS File」では米国CIAとは一風も二風も異なる英国情報部員を演じているし、「鷲は舞い降りた The Eagle has landed」では「イギリス人との混血」って設定ながら「ドイツ(*1)特殊空挺部隊隊長を演じている。
 

 

 

 そんなマイケル・ケインが「タダの優男ではない」所を発揮する映画の一つが、ズール戦争 Zulu」である。

 

 

 

 時は19世紀末。「英国の平和 パックス・ブリタニカ」未だ華やかなりし頃(*2)。「太陽の没することのない」植民地帝国を築いていた大英帝国に対し、未だ近代化・火力化は半ばながら果敢にも挑んだアフリカのズール族との「ズール戦争」の一局面を描いたこの映画で、マイケル・ケインは「圧倒的多数と士気を誇るズール族に対し、砦に立て籠もる英軍の副官」を演じた。まあ場所がアフリカで19世紀の英軍正規兵(且つ、設定上貴族出身)なので、真っ赤な軍服に白いヘルメットと指揮官用(多分)の回転式拳銃で、泥まみれ血まみれになりながら獅子奮迅の活躍を見せている。

 この映画がケインの出世作になったってのも、頷けるモノがあるな。

 

 Mens of Herlechは、この映画の中で効果的に使われる挿入歌だが、元はウェールズのtraditional patriotic song 伝統的愛国歌、だそうだから、まあ民謡とか戦時歌謡とか言うのだろう。題材しているHerlech籠城戦ってのは実に15世紀の話だそうだから、Traditionalも良い処だ。

 

 動画では(音は良いが)一寸判りづらそうだが、このシーンは戦闘(今回は小さな教会だか救護所だかに立て籠もる100人程の兵で、半数は工兵)のクライマックスに近い所で使われる。
 隊伍を揃えて突撃に移る前に、独特のリズムと歌唱(と言うより、詠唱かな・・・)で突撃準備するズール族。塹壕、では無いがそれぞれの遮蔽物の影で銃(*3)を持って緊張して待つ英軍兵士達。そんな中で、「対抗手段」として歌われ出すのが、この挿入歌Men of Herlechである。
 
 今回歌詞を書き出して、翻訳し、その背景を知ると、随分と得心の行く事があった。上手い使い方しやぁがるなぁ。

 Welshmen will not yield! 
 ウエールズ人に敗北無し!

  • Meon of Herlech

 Men of Herlech,stop your dreaming、

 Can't you see theira spearpoints gleaming?

 See their Warrior penants streaming,

 To this battlefield.

 

 Men of Herlech stand ye steady,

 It can not be ever said ye

 For the battle were not ready,

 Werlshmen never yield!

 

 From the hills rebounding,

 Let this war cry sounding,

 Summon all at Cambria's call,

 The mighty force surrounding!

 Men of Herlech on to glory,

 This will ever be your story,

 Keep the burning words before ye,

 Welshmen will not yield!

 

 Men of Herlech,stop your dreaming, 

 Can't you see their spearpoints gleaming?

 ハーレックの男達よ、夢から覚めよ。

 奴らの槍先煌めくのが見えぬか。

 

 See their warrrior pennants streaming,

 To this battlefield.

 奴らの戦旗が怒濤となり、

 正にこの戦場へ流れ込むのを見よ。

 

 Men of Herlech stand ye steady,

 It can not be ever said ye

 For the battle were not ready,

 Welshmen never yield!

 ハーレックの男達よ、汝ら雄々しく立て。

 この戦に準備不足などと口が裂けても言うなよ。

 ウエールズ人に降伏無し!

 

 From the hills rebounding,

 Let this war cry sounding,

 Summon all at Cambria's call,

 The mighty force surrounding!

 丘々に木霊して、我らが雄叫びを響かせよ。

 カンブリアの呼び声で、辺りの全ての力を召喚せよ。

 

 Men of Herlech on to glory,

 This will ever be your story,

 ハーレックの男達よ、栄光は目前だ。

 この戦いは汝らの誉となろう。

 

 Keep this burning words before ye,

 Welshmen will not yield! 

 我らの熱き標語を穢すな。

 ウエールズ人に降伏無し!
 

  • <注記>
  • (*1) それも第二次大戦下だから、ナチスドイツ。 
  •  
  • (*2) って事は、帝国主義全盛期ってことだ。 


(*3) 薬莢式ではあるが、単発銃。本銃のガンアクションも、この映画の魅力の一つ。