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即ち、「今は未だ機能していない」訳だ。-【毎日社説】ウクライナ侵攻 露の非人道的行為 国際法廷を機能させる時
タイトルにもしたが、「語るに落ちる」とは、この事だな。下掲する毎日新聞社説のタイトルにある、「国際法廷を機能させる時」とのフレーズは、「現状・現行のままでは、国際法廷は機能していない」事を、かなり強く・明白に、示唆していよう。また、その示唆は、現状の所「正しい」様だ。
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【毎日社説】ウクライナ侵攻 露の非人道的行為 国際法廷を機能させる時
https://mainichi.jp/articles/20220321/ddm/005/070/015000c
朝刊政治面
毎日新聞 2022/3/21 東京朝刊 English version 840文字
ウクライナに侵攻したロシア軍の非人道的行為が目に余る。戦時国際法を踏みにじるものだ。
多くの女性と子どもが避難していた劇場が空爆された。攻撃されないよう、近くの地面に「子どもたち」と大きな字で書かれていた。妊婦のいる病院も破壊された。
非戦闘員や病院への攻撃はジュネーブ条約で禁じられている。中でも女性と子どもは特に保護されるべき対象だ。
原発を含む複数の原子力施設も砲撃にさらされた。原発はダムなどと同様に、攻撃が禁止されている。破壊されれば甚大な被害につながるからだ。
ロシア軍の侵攻地域では市長らが拉致された。戦争犯罪である人質行為に当たる。
主要7カ国(G7)の外相は「民間人への無差別攻撃を含む戦争犯罪の責任を追及する」との共同声明を発表した。米上院は、プーチン露大統領らに対する捜査と責任追及を国際法廷に求める決議を全会一致で採択した。
ウクライナによる提訴を受け、国際司法裁判所(ICJ)は、ロシアに軍事行動の即時停止を命じた。ロシアは国際司法の判断に従うべきである。
日本を含む40以上の国がロシアの戦争犯罪を裁くよう、国際刑事裁判所(ICC)に求めた。
123カ国・地域が加盟するICCは戦争犯罪などに関わった個人を裁く。前線の兵士も訴追対象となる。命令に従っただけだという抗弁は受け入れられない。
ICCの検察組織はウクライナで証拠収集を始めた。捕虜となったロシア軍兵士の供述などに加え、市民が撮影した攻撃の様子も貴重な証拠になり得る。
プーチン氏が違法な攻撃を命じたと見なされれば、ICCから逮捕状が出されることが想定される。その場合、加盟国を訪問した時に逮捕される可能性がある。
国家間の紛争は、武力でなく外交や司法によって解決する。第二次世界大戦の反省を踏まえた戦後秩序の大原則だ。国際法廷はそれを支える存在である。
ウクライナへの侵攻をやめさせ、ロシアの責任を明確にしなければならない。そのために、国際法廷の機能を最大限に発揮させることが必要である。
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「今は機能していない」どころか、「殆ど機能したことが無い」のでは無かろうか?そんなモノに期待する/期待できるのかね?
いやぁ、半ば(以上)「予想された」事ではあるが、モノの美事に「国際刑事裁判所ICC(*1)でロシアの戦争犯罪を裁け。」としか主張していない。そりゃ「日本を含む40以上の国が(ICCでのロシア戦争犯罪裁判を)求めている。」【パラグラフ8】そうだから、毎日新聞としてもその主張に自信があるのだろう。また【パラグラフ10】にも在る通り、「国際刑事裁判所ICCの検察側も動き始めた」様ではあるが・・・冒頭でも述べた通り、「国際司法裁判所ICCなるモノの実効性」には、多大なる疑問がある・・・と言うより、私(ZERO)は正直なところ、「国際司法裁判所ICCって、ナニ?」状態だ。そんなモノが実在して、何らかの機能を果たしているなんて、上掲毎日社説を読むまで、知りもしなかった。
まあ、「裁判所」ってぐらいだから、裁判をするところなのだろうし、上掲毎日社説にも、
1> 123カ国・地域が加盟するICCは戦争犯罪などに関わった個人を裁く。
2> 前線の兵士も訴追対象となる。
3> 命令に従っただけだという抗弁は受け入れられない。
と「解説」されてはいるが、チョイとネットを探るとそのHPにたどり着けて、設立されたのは2002年らしい。
上掲毎日社説にも名前が挙がる国際司法裁判所ICJとの相違は、以下の点らしい。
① ICCは国連の機関では無く、独立している。
② 集団殺害犯罪、人権に対する罪、戦争犯罪に問われる個人を訴追対象とする。
HPによると、「2016時点で大凡10件を裁判中で、約20件を準備(調査)中」とあるが、「2016に初の有罪判決」ともあるから、この世に数多ある戦争と戦争犯罪の数からすると(しかも、訴追対象は、個人だ・・・)、「実刑判決による戦争犯罪処罰」と言うよりも、「かかる裁判所が存在し、有罪判決を下す可能性がある」事による「戦争犯罪の抑止」が主たる効果、なのだろう。イヤ、「戦争犯罪の抑止」以上の効果は、全く期待できそうに無い。
と、尤もらしく書いたが・・・この国際司法裁判所の出した「有罪判決」って、誰が、どう執行するんだぁ?
4> プーチン氏が違法な攻撃を命じたと見なされれば、
5> ICCから逮捕状が出されることが想定される。
6> その場合、加盟国を訪問した時に逮捕される可能性がある。
と、上掲毎日社説にはあるんだが・・・その「逮捕」を実行し、収監するのは誰(*2)で、何処へ収監するんだろう。
更には、上掲毎日社説上記4>~6>が示唆し、ウイキペディア「国際司法裁判所」の項にもある通り、「ICCに加盟する123カ国・地域」には、ロシアも中国も(序でにアメリカも(*3))入っていない。上記6>に「加盟国を訪問した時に逮捕される可能性がある。」と言うのは「嘘ではない」だろうが、北朝鮮の首領様のように「国内引きこもり」していれば、(或いは、米中露間などのICCに加盟していない国を渡り歩いていれば、)「逮捕される可能性すらない」。
言うまでも無かろうが、これらは、上掲毎日社説が主張する「国際法廷が十全に機能した場合」且つ「プーチンが有罪となり、逮捕状が出た場合」でも、である。証拠不十分その他の理由で、無罪判決なり告訴取り下げ(そう言う案件も、多いようだ。)なりになったら、「それすら、無い」事になる。
何を言いたいのかというと、上掲毎日社説が大いに期待しているらしい「国際刑事裁判所」はじめとする「国際法廷」なるモノは、「喩え十全に機能したとしても、大した効果は期待できない。」と言うことであり、左様なある意味「達観」が必要であろう、と言うことだ。
戦勝国の強権と遡及法まで駆使して千人以上の絞首刑を実施した東京裁判=極東軍事裁判ですら、その後の「平和に対する罪」だの「人道に対する罪」だのの抑止には、全く成功していない。ま、その後同様の裁判がほぼ実施されていないのだから、当たり前だな。
国際司法裁判所や国際刑事裁判所は、「条約に基づく」モノ且つ「恒常的な組織」であるから、条約加盟国には一定の抑止として働こうが(それでも、条約署名撤回してしまう国も、あるからなぁ。)条約に加盟して居ない、ないし脱退した(署名撤回国含む)国に対しては、効果は「あるとしても限定的」だ。
「現状認識は、戦術の第一歩。」とも言うし、
「血だけが、歴史の車輪を動かす。」とも言うぞ。
- <注記>
- (*1) これが前掲社説タイトルにある「国際法廷」のこと、らしい。
- (*2) 逮捕するのは、各国司法機関=警察で、良さそうだが・・・
- (*3) 中国はそもそも非加盟国で、米露は「署名後に署名撤回」した国、となっている。
- 「署名撤回」なんて、出来るんだな・・・
