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まっとうな電力会社の責任は、先ず第一に電力の安定供給だ。-【毎日】福島復興と東電の責任 原発依存では果たせない
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【毎日社説】福島復興と東電の責任 原発依存では果たせない
https://mainichi.jp/articles/20211108/ddm/005/070/021000c
朝刊政治面
毎日新聞 2021/11/8 東京朝刊 English version 854文字
福島第1原発事故を起こした東京電力の経営が行き詰まっている。電力小売り自由化に伴う顧客離れに加え、収益拡大の柱と期待してきた新潟県の柏崎刈羽原発の再稼働が全く見通せないためだ。
東電は事故の賠償や廃炉費用などで16兆円を負担することになっている。だが、燃料高の影響も重なり、来年3月期は9年ぶりの最終赤字に陥る見通しという。
このままでは最大の使命とする「福島復興への責任」を果たせなくなる恐れがある。再建策の抜本的な見直しが必須だ。
問題は柏崎刈羽の再稼働を再建の頼みとしていることだ。「史上最悪レベルの事故を起こした東電に原発を動かす資格があるのか」と疑問視されてきた。
さらに、柏崎刈羽を巡っては、他人のIDカードを使った不正入室や、侵入検知機器の故障などテロ対策の重大な不備が、今年になって相次ぎ発覚した。原子力規制委員会は審査を終えた7号機の再稼働を事実上禁じた。
東電は9月、この不祥事の原因や再発防止策をまとめた報告書を公表した。経費削減を優先するあまり、侵入検知機器の故障が長期間放置されるなど、安全軽視の体質が浮き彫りになった。警鐘を鳴らす現場の声も経営陣に届いていなかったという。
小早川智明社長は記者会見で「安全最優先の体制を作り、地元の理解や信頼を得る前提で再稼働を目指していく」と語った。1基を動かせば年間約500億円の収益改善効果が見込めるためだ。
だが、地元の不信感は極まっており、再稼働への同意を得るのは難しい。「絵に描いた餅」の再建策では苦境を深め、社員の士気を低下させるばかりだ。
東電は再生可能エネルギーの中でも安定した電源とされる水力発電所を多く保有する。大規模な風力発電所の開発も進めている。中部電力との合弁会社ではアンモニア燃料を使った火力発電の脱炭素化に取り組んでいる。
こうした強みを生かせば、原発に依存しない新たな再建策を描けるはずだ。
原発事故から10年。脱炭素時代をリードするような企業に生まれ変わらない限り、福島復興の責任は果たせないと自覚すべきだ。
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「再エネで脱炭素」とか電力会社が抜かしていたら、その会社は「電力の安定供給を放棄している」のであり、実に無責任な会社だ。
電力自由化によって、左様な「無責任な電力会社」もあり得る状態であり、実際に「ある」のだろうさ。
それ即ち、「電力の安定供給」を他社任せにして、自社は「再エネの不安定な電力供給で、儲けられるだけ儲ける」と言う、実に無責任な会社ではあるが、電力自由化の恩恵で「そんな会社でも存在は許される。」
だが、電力の安定供給に責任を持つ、乃至責任を感じる電力会社ならば、「再エネ電力供給の不安定さ」も、「脱炭素の本命は原発」という冷徹冷厳なる現実も、理解している、筈である。であるならば、「責任感ある、まっとうな電力会社」ならば、「原発依存」を打ち出して当然であり、正に東電は「責任感ある、まっとうな電力会社」であることを、実践実証実演して見せている。流石、と言うべきだろう。
これを、上掲毎日社説の様に「再エネで脱炭素を目指せ!」と主張するのは、一見「カッコ良い」かも知れないが、実に無責任であり、脳天気であり、有り体に言ってアホである。まあ、そんなアホは、山本太郎はじめとして掃いて捨てる程あるのだが。
太陽光は、夜間は1Wも発電しない。
風力は、風が止んだらお手上げだ。
水力を除く再エネは、「発電量は出来高」で、「意図的に発電量を増やすことは出来ない」。従って、原則的に「再エネは、不安定な電力供給源」にしかならない。
蓄電池等の「電力貯蔵手段(*1)」により、この「再エネの原理的欠点」をある程度克復事は、可能だ。
だがそれでも、「電力供給の安定性」を担っているのは、「電力貯蔵手段」の方であって、「再エネ」の方では無い。「電力貯蔵手段」に充電する電源は、再エネに限らずとも良いのである。「原発や火力を定常的に最大電力で発電させ、余剰電力で”電力貯蔵手段”に充電する」方法だってあるのだから。
- <注記>
- (*1) 揚水式ダムの、上のダムの貯水量も含むので、斯様な一般的表現とした。