言うだけならタダだ。新聞記者とは、気楽な稼業と、来たモンだ。ー【朝日社説】洋上風力発電 豊かな「資源」の活用を

【朝日社説】洋上浮力発電 豊かな「資源」の活用を
洋上風力発電 豊かな「資源」の活用を

  https://www.asahi.com/articles/DA3S14595857.html?iref=pc_rensai_long_16_article

2020年8月24日 5時00分


 目の前の豊かな「資源」を最大限に活用すれば、気候危機対策と経済成長の両立を実現できる。官民あげて洋上風力発電の拡大に努めるべきである。

 政府は先月、優先的に洋上風力事業を進める促進区域を追加し、長崎、千葉と秋田2カ所の計4カ所とした。ほぼ同じ時期、関連産業を育てるための官民協議会も発足した。

 これまで風力発電は、安定供給の懸念や送電線への接続制限などで伸び悩んできた。2018年度の総発電量に占める割合は0・7%と、世界平均を大きく下回る。国内では現在、陸上風力が大部分を占めているが、騒音や景観などの懸念が少ない洋上をいかに活用できるかが今後の拡大のカギを握る。

 海外では洋上風力の伸びがめざましい。自然エネルギー財団によると、世界の導入量は過去10年間で15倍に増えた。国際再生可能エネルギー機関の試算では、今後10年でさらに10倍になり、今世紀半ばには現在の40倍にもなるという。

 英独やデンマークなど欧州のほか、アジアでも拡大している。特に中国は意欲的で、設備容量は世界3位だ。

 こうした国々との差は大きいが、日本は幸い領海と排他的経済水域が世界で6番目に広く、風という資源にも恵まれている。そんな地の利を生かせば、仮に原発がゼロになっても、その分の電力を風力でまかなえるほどの潜在力がある。この豊かな資源を生かすため、漁業との共存や発電コストの低減などに知恵を絞ってほしい。

 洋上風力の拡大に取り組むことは、脱炭素ビジネスの後押しにもつながる。

 風力発電1基あたりの部品数は数万もあり、産業としての裾野は広い。運転・保守で雇用を生み出せば地域の活性化にもつながる。しかし国内市場が貧弱なせいで、日本のメーカーは相次いで風車の生産から撤退した。再び投資を呼び込むには、政府が明確な将来像を描かねばならない。

 だが政府目標では、10年後も風力は電源構成の1・7%しかない。再生可能エネルギー全体でも22~24%で、石炭や原発と同程度の水準にとどまる。

 先ごろ政府は、低効率の石炭火力を大幅に減らす方針を決めた。将来的に原発の比率を下げざるをえないことも明らかだ。他方、再エネに対する企業の需要は高まっており、太陽光や風力などを電源構成の主体としていくことが時代に即している。

 次期エネルギー基本計画で再エネの目標を高くし、洋上風力の潜在力を引き出す。脱炭素社会の実現には、そんな大胆な戦略が求められている。

 

予想通りだが、電力の安定供給について何の解決策も示さず。

 洋上風力だろうが地上風力だろうが太陽光だろうが、水力以外の「再生可能な自然エネルギー」の最大にして宿命的な欠陥は、発電量がお日様任せ風任せで制御できず、電力需要の変動に応じられない事だ。この点は幾ら発電コストが下がろうが、変わりは無い。変わりようが無い。

 発電量を電力需要に応じて制御できるのは、水力、火力、原子力だ。この内、水力は「再生可能エネルギー且つ発電量を(ある範囲で)制御できる上に、応答性も良い」と言う、一種の「理想の発電方式」だが、残念ながら我が国ではもうそうは伸びシロが無い。かつては我が国の電力需要の半分を賄っていた水力が、今は1割程度なのは、水力発電量が減ったのでは無く、電力需要が増えたから。その増えた分を賄ったのが、火力と原子力であり、水力以外の「再生可能な自然エネルギー」は、まあオマケでしか無かった。オマケでしか無いから、発電量を制御できない出来高でも、別に困らなかった。

 で、左様な「発電量が出来高で制御できず、電力供給の不安定要素である水力以外の"再生可能な自然エネルギー"の内、洋上風力発電」を、上掲朝日社説は大いに持ち上げて、

1>  次期エネルギー基本計画で再エネの目標を高くし、洋上風力の潜在力を引き出す。
2> 脱炭素社会の実現には、そんな大胆な戦略が求められている。


と断定断言出来てしまうんだから、凄まじい。左様な「高い目標の再エネ」で実現されるのは、「脱炭素社会」と言うよりは「脱電力社会」だろう。発電量に応じて電力需要を統制する、「電力統制社会」で無ければ、左様な「高い目標の再エネ」は、実現しない。原理的に電力供給の不安定要素である「洋上風力発電」をはじめとする再エネは、高効率大容量の蓄放電技術が確立普及しない限り、「電力需要に応じた発電」という現在の電力供給システムが実施して居る事が実施できないのだから、「発電量に応じて、電力を消費する」しかない。

 で、その電力統制に失敗すれば、どの程度の範囲か時間か知らないが、停電だ。無論、それ以前に、そんな電力統制をどうやって実現するか、と言う大問題はあるが、な。

 大体、

3>  日本は幸い領海と排他的経済水域が世界で6番目に広く、風という資源にも恵まれている。

等と脳天気に断言してくれる上掲朝日新聞社説だが、領海は未だしも排他的経済水域に洋上風力発電所を設置する事は、国際法上の問題を惹起する公算大であるし、何処の海面で発電しようがその電力は陸地へケーブルで送電しないといけない。而して、その洋上風力発電所は(ヘタすると送電ケーブルも)、船舶の航行に対し洋上の障害物になる事も疑義の余地が無い。

 それらの、「一寸考えれば判りそうな問題点」も、「風力発電の原理的に不可避な発電不安定性」も全く無視して、何らの解決策も示さず、問題に触れる事すら無く、上記1>~2>の通り断定断言出来てしまえるのだから、全く新聞記者ってのは、気楽な商売だな。