筆が滑った?反アベ芸人・古賀茂明氏ー【週刊朝日】古賀茂明「官邸のえこひいきで堕落した官僚」

 週刊朝日に一見尤もらしい(が、往々にしてトンデモナイ)言説を書いている(事になっている(*1)古賀茂明氏を、一言で表すならば、「反アベ芸人」であろう。「反アベ」であることを、ほぼ唯一の売り物として居る、一種の芸人。

 であるならば、古賀氏が週刊朝日に連載するコラムが「反アベ」芸全開のは、理の当然ではある。が、今回の芸はまた、何時にも増してヒドくないか?
 

 

  • <注記>
  • (*1) 「ゴーストライターに丸投げしている」可能性を、否定する材料は、無さそうなので、「事になっている」とした。。 

【週刊朝日】古賀茂明「官邸のえこひいきで堕落した官僚」


連載「政官財の罪と罰」 
  
古賀茂明2020.6.30 07:00週刊朝日#安倍政権
 
古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。主著『日本中枢の崩壊』(講談社文庫)など


【1】 先週号の本コラムで「チャラ男」官僚について書いたところ、霞が関の「官僚像」について多くの取材を受けた。

*  *  *


【2】 一般に、日本のキャリア官僚は、「優秀」で「勤勉」だと言われる。

【3】 憲法15条第2項には、「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」と書かれているが、普通の官僚は、その原則を守る善人であるように思える。

【4】 さらに、官僚と言えば、「クソ真面目」で、羽目を外すことはないという安心感もある。

【5】 こうした官僚像は、間違いとは言えない。そういう官僚も現に存在する。

【6】 しかし、昨今話題に上る官僚たちは、こうした伝統的イメージからかなりかけ離れている。

【7】 例えば、「優秀」な官僚の中でも選りすぐりの超エリートだと目される「官邸官僚」たち。その筆頭格である今井尚哉総理補佐官兼秘書官は、突然の学校一斉休校の強行で総スカンを食った。その配下にいる経済産業省官僚チームは「アベノマスク」で日本中の怒りや失笑を買い、星野源氏とのコラボ動画では大ブーイングを呼んだ。「優秀」どころか「バカ」ではないか。

【8】 長谷川栄一総理補佐官兼内閣広報官が演出する安倍総理の記者会見は、露骨な「やらせ」ばかりが目立ち、会見の度に国民の心が離れていく。こちらも「優秀」とは程遠い。

【9】 経産省ではないが、国土交通省出身の官邸官僚、和泉洋人総理補佐官は、厚生労働省の女性審議官と出張の度に「コネクティングルーム」に宿泊という不倫疑惑。「不真面目」の象徴だ。

【10】 さらに、先週号でも取り上げたが、安倍政権の屋台骨である経産省では、第1次補正予算の目玉である持続化給付金事業で、トンネル団体を使った電通丸投げという「怠慢」行政が露呈。それを担当した前田泰宏中小企業庁長官が、過去に米テキサス州視察の際に「前田ハウス」と呼ばれる借り上げ住宅で本件に関与する電通職員(当時)とパーティーに同席していたことも発覚。そのチャラ男ぶりも目に余る。一体、官僚とは何なのか。そういう疑問が出てきてもおかしくない。

【11】  結論から言えば、官僚は優秀でも勤勉でも公正でもクソ真面目でもない。大学入試の時にテストができただけで、その後ひたすら「省益」のために働く。ほとんど進歩がなく、幹部クラスの多くは使い物にならない。

【12】 公務員試験では、自分のためでなく社会のために働けるかという評価はなく、「公正」の保証も全くない。

【13】 しかも、最近は、前近代的な職場環境を嫌って官僚よりも外資に優秀な人材が流れ、二流人材が役所に集まる。5~6年働いて、箔をつけて辞めようという確信犯的チャラ男たちも増える。

【14】 一方で、今は少数派となった真面目な官僚たちは「弱い人間」だ。国民のことよりも上に媚びたほうが得だとなれば、正しい道から外れてしまうことも多い。

【15】 だからこそ、国のリーダーは、自らを強く律し、国民のために身を投げ出す覚悟を示さなければ、官僚たちを正しい道に導くことができない。

【16】 しかし、残念ながら、官僚たちは、安倍総理が非常に不真面目で「えこひいき」な人間だと見抜き、出世のためにはそこに取り入るしかないと考えている。「バカで怠慢、えこひいきのチャラ男」官僚たちが羽目を外し、この国を滅ぼす。

【17】 それを止めるには、安倍総理以外のリーダーを選ぶしかない。 


現職官僚を非難し、その全責任は安倍首相にあるとする、典型的な「アベガー」論

 章題にもしたが、上掲コラムを評するならば、「現職官僚に対する非難を、安倍首相の責任とすることで、成立している反アベ芸」と言うことが出来そうだ。

 だが、その「現職官僚に対する非難」の根拠は、以下の通りである。(例によって【】内は上掲記事のパラグラフ番号)

① 一斉休校要請【7】

② アベノマスク【7】

③ 星野源氏とのコラボ動画【7】

④ 安倍首相記者会見の「やらせ」【8】

⑤ 官僚男女が出張でコネクティングルームに宿泊した「不倫疑惑」【9】

⑥ 持続化給付金事業の電通丸投げ【10】

⑦ 官僚と電通職員のパーティー同席【10】


 これらを列挙した上で、古賀氏は、

1> ひたすら「省益」のために働く。ほとんど進歩がなく、幹部クラスの多くは使い物にならない(*1)。

2> 前近代的な職場環境を嫌って官僚よりも外資に優秀な人材が流れ、二流人材が役所に集まる。5~6年働いて、箔を付けて(*2)辞めようという確信犯的チャラ男たちも増える。


と、断定断言されている、のだが・・・はて、どれ程の説得力があろうかな。

 先ず上記①「一斉休校」を非難する、ってのがサッパリ判らない。そりゃ非難している人が居ることも知っているし、「そもそも不要だった」説があるのも知っているが、上記①「一斉休校」措置には、十分か否かに議論の余地はあるとしても、「防疫効果があった」事には疑義の余地は無い。今の日本の現状を、武漢肺炎禍に対し肯定的に考える限り、その肯定の一端は上記①「一斉休校」も担っている、筈だ。あれこれと弊害も文句もあるだろうが、「無能な官僚が取った愚策」の例とするのは、相当な偏見が必要だろう。

 上記②「アベノマスク」については、別途論じようと考えて居る。愚行とする人も多い「アベノマスク」だが、そりゃ随分と皮相的な見方だろう、とだけ、此処では言うに止めよう。

 上記③「コラボ動画」ってのは、「安倍首相が優雅に紅茶をすすってstay homeを訴えるのがケシカラン」とかナントか言う非難だっけ?余りに下らなすぎて覚えていないのだが。でも確か、非難する者も多かったが、賛同する者も多く、記録的な「いいね」を集めた、のではなかったか。であるならば、これまた、「無能な官僚が取った愚策」の例とするのは、相当な偏見が必要だろう

 上記④「やらせ」は・・・これこそ「何のことやら判らない」。記者会見の”やらせ”があからさまでヘタだから、官僚は無能だ!」って主張らしいのだが、元高級官僚たる古賀氏ならば「もっと上手く、判らないように”やらせ”をやった!」って自慢・自信、なのだろうか。

 「あからさまでヘタな”やらせ”」は、「実は”やらせではない”」可能性は、ないのだろうか?

 上記⑤「不倫疑惑」は更にヒドい。「出張先で男女の官僚がコネクティングルームに泊まった」から、「不倫疑惑って、週刊誌のゴシップネタとしてはそれで十分かも知れないが「日本の官僚のクオリティを判定する」のに、そんなゴシップネタの「不倫疑惑」を判定材料にするのだろうか?コネクティングルームの利点は「不倫密通に便利」だけ、だろうか?

 第一、もし仮に私が「出張先で不倫しよう」と考えたら、コネクティングルームに泊まるなんて間抜けなことはしない。どちらかの寝室で致せば済む話。シングルベットでは不都合な点があるかも知れないが、それはコネクティングルームでも同じ事だろう。

 上記⑥「電通丸投げ」は、これらの中では未だ尤もらしいが、「電通へ丸投げ」と判断判定するのは担当官僚の裁量の内であろう。「丸投げにした」から無能とも即断出来かねようし、「電通に丸投げ」だから不正と言うのも即断が過ぎよう。「丸投げ」自体は、不正でも違法でも犯罪でも無い、筈だ。


 言い換えるならば、担当官僚に「丸投げにして良い」裁量が与えられている以上、「丸投げにする」という判断判定は「認められている」と言うこと。その判断判定に疑義を呈することは出来ようが(*3)「丸投げした」から無能とも断定出来ないし、罪ともならない。

 「丸投げした!」だけで非難出来るのは、「丸投げする裁量を与えられていない担当官僚が、丸投げした」場合、だけだ。

 上記⑦「パーティー同席」って・・・ここまで来ると、「古賀氏が何を問題視しているのか。判らなくなって来る」レベルだ。上記⑥と合わせて「電通との癒着」を言いたいのかも知れないが、「癒着の傍証」とはなり得るかも知れないが、「電通職員と官僚がパーティーで同席する」事自体は、何の罪にも問えそうに無い。

 あ、あれか。カケ問題で、「加計理事長と安倍首相が会食した!ゴルフした!!」って「非難」していたのと、同じ「ロジック」か。流石は朝日子飼いの元高級官僚だな。「ロジック」も野党並だな。高級官僚やってた頃は、もう少し頭が切れた、のではないかと、期待したいがな。

 以上の通り見ていくと、現職官僚は、無能である。」とする根拠になりそうなのは、上記④「ヘタなやらせ」⑥「丸投げ」、オマケして③「コラボ動画」だけ

 現職官僚の風紀が乱れている」とする根拠になる可能性があるのが、オマケして上記⑤「不倫疑惑」、更にオマケして⑦「パーティー同席」か。但し、言うまでも無かろうが「風紀の乱れ」は「無能」とイコールでは無い。

 だが、上記①から⑦を通じて何れも「省益のことばかりひたすら考えて居る」証拠には、なりそうに無い。下手な動画ややらせや丸投げが「省益になる」としてもかなり間接的だし、況んや省益で「不倫する」なんて、一寸想像を絶する(*4)。

 即ち、上掲記事で上記1>~2>の通り古賀氏が非難している「現職官僚の惨状」と、その惨状の根拠としている(としか思えない)上記①~⑦を「直結させられるのは古賀氏ぐらいでは無かろうか。」と思えるぐらいに結びつかない。つまりは、古賀氏の独断直結・短絡思考、で片付けられてしまえそうだ。

 朝日信者や古賀教徒(ってのが、居るんだか、どれぐらい居るんだか、知らないが。)には、左様な「直結」も通用するのかも知れないが、私(ZERO)の様な「異教徒」には、通用しない。

 で、もっと私(ZERO)の様な「異教徒」には、通用しないのが、上記①~⑦を根拠とし、上記1>~2>の通りの「現職官僚の惨状」を、「安倍首相の責任である」と断定断言する、ロジックである。

3> 国のリーダー(*5)は、自らを強く律し、国民のために身を投げ出す覚悟を示さなければ、官僚たちを正しい道に導くことができない。【パラグラフ15】

4> しかし残念ながら、官僚たちは、安倍首相が非常に不真面目で「えこひいき」な人間だと見抜き、出世のためにはそこに取り入るしかないと考えている。「バカで怠慢、えこひいきのチャラ男」官僚たちが羽目を外し、この国を滅ぼす。【パラグラフ16】

5> それを止めるには、安倍総理以外のリーダーを選ぶしか無い。【パラグラフ17】

と、上掲記事は占めており、平たく言って「安倍首相退陣論」である。それも、「安倍首相は非常に不真面目で「えこひいき」な人間だ。」という断定断言と、「自らを強く律し、国民のために身を投げ出す覚悟を示し、官僚を正しく導くべきだ。」という実にご立派な首相論と、「安倍首相さえ退陣すれば、全て上手く行く。即ち後任の首相は真面目でえこひいきをしないばかりか、自らを強く律して国民のために身を投げ出す覚悟を示し官僚を正しく導くに違いない!」という予言、もとい、願望つきで、だ。

 予言も願望も良かろうさ。未来の話だから、如何様にもバラ色に描けよう。

 忘れてはいけないのだが、古賀氏は元高級官僚であり、歴代首相との縁も浅からぬ人だ。その元高級官僚様が、上記3>「国のリーダーは、自らを強く律し、国民のために身を投げ出す覚悟を示さなければ、官僚たちを正しい道に導くことができない。」と断定断言していると言うことは、以下の2Caseの何れかを断言艇断言している、筈である。

<Case1> 安倍首相以前の首相は、自らを強く律し、国民のために身を投げ出す覚悟を示し、官僚たちを正しい道に導いて来た。
 
<Case2> 安倍首相以前の首相も、自らを強く律せず、国民のために身を投げ出す覚悟を示さず、官僚たちを正しい道に導くことができなかった。

 尚且つ、古賀氏自身高級官僚として、歴代首相の<Case1>ぶり(ないし<Case2>ぶり)を自ら実体験されて来た、筈である。一体、誰が<Case1>に相当したのかは、興味深いところでは無いか。

 更には、上記5>の通りの断定断言は、「安倍首相が退任さえすれば、<Case1>が実現する。という断定であり、これは安倍首相以前の首相の多くが、<Case1>の”正しい首相像”であった。」事を、かなり強く示唆している・・・言うまでも無いだろうが、安倍首相の前は民主党政権下の三代首相で、その中には、あ・の・菅直人や、そのフルネームで「人類の叡智の及ぶ限り最大限の罵詈雑言」と弊ブログが認定した、あ!の!鳩山由紀夫を含んでいるのに、だ。
 
 果たして、古賀氏は、自ら実体験されているはずの菅直人「首相」や鳩山由紀夫「首相」を、<Case1>と判断するのか?

 もし仮に、安倍首相以前の、古賀氏が実体験した歴代首相の中に<Case2>に相当する元首相があるならば(*6)、少なくとも「古賀氏自身のロジックに則っても、古賀氏自身の主張する現職官僚の惨状の責任は、安倍首相のみに帰するわけには行かない(<Case2>に相当する元首相にも、その責がある)」筈なのである。

 如何に、古賀氏!?

と、問い質したいところだが・・・「反アベが昂じて筆が滑った記事」と考えた方が、随分とスッキリするな。古賀氏の記事は往々にして「筆が滑って」居るようであるから、な。

 

  • <注記>
  • (*1) 古賀氏は元高級官僚で、当時は押しも押されもしそうにない幹部クラスだった、筈だが。「自分は例外」って言いたいのかな。 
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  • (*2) 二流人材が集まる役所に5から6年勤めても、大した箔は付かないと思うが・・・此処でも「自分は長く勤めたから、チャラ男では無い。」ってのが、結局言いたいこと、なのかな。 
  •  
  • (*3) その場合、「丸投げと判定した根拠が不正、不当だ!」と非難すべきであり、上掲古賀氏記事のように「丸投げした!」では、非難とならない。 
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  • (*4) 不倫相手が他の省庁ならば、未だ結びつくかも知れないが・・・ 
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  • (*5) と、表記しているが、文脈からしても、常識的にも、日本の場合は日本国首相、だよなぁ。 
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  • (*6) と言うより、「安倍首相以前の首相は全て<Case1>だった!」って主張は、「常軌を逸している」としか思えないのだが。