「安倍首相は神であれ!」と要求する社説ー武漢肺炎対策を巡る、琉球新報社説二題
下掲二本の社説は、琉球新報の連続した二日間の社説である。繰り返す。琉球新報の連続した二日間の社説である。まあ篤とご覧じよ。
①【琉球新報社説】2次補正予算成立 対策の後手は許されない
②【琉球新報社説】アベノマスクの教訓 税金の無駄遣いを許すな
①【琉球新報社説】2次補正予算成立 対策の後手は許されない
2次補正予算成立 対策の後手は許されない2020年6月14日 06:01
社説
新型コロナウイルス感染症拡大に対応する2020年度第2次補正予算が成立した。補正予算としては過去最大の31兆9114億円となる。安倍晋三首相は「世界最大の対策により100年に一度の危機から日本経済を守り抜く」と強調した。
守り抜くには迅速さが必要だ。ところが現金10万円の一律給付金は、いまだ対象者の4割弱にしか届いていない。新型コロナの影響で収入が減った中小企業などに最大200万円を支給する持続化給付金も申請から1カ月以上が過ぎて未支給のケースが約5万件に上る。
申請手続きの煩雑さや事務処理の混乱も指摘されている。その間に企業経営は苦しくなり、失業率は悪化している。対策が後手に回ることはもう許されない。まずは雇用の維持、倒産の抑止に取り組まなければならない。
4月末に成立した1次補正は、一律10万円給付など個人向けの直接給付が目玉だったが、2次補正の柱は企業向けの資金繰りと雇用の支援強化が柱だ。金融機関を通じた実質無利子融資の拡充や、売り上げが急減したテナント事業者への「家賃支援給付金」の創設、雇用調整助成金の上限額引き上げなどが盛り込まれた。雇用を守るためには必要な措置だ。
ただ、持続化給付金を巡っては民間の事務委託先の選定過程が不透明で、再委託などを重ねる複雑な取引関係が利益の「中抜き」、「ピンハネ構造」などと野党から批判を浴びている。中小企業庁の前田泰宏長官と持続化給付金の事務委託先の団体幹部との個人的なつながりが報じられた。観光などの支援事業「Go To キャンペーン」は最大3千億円に上る高額な委託費が問題視され、公募が中止された。政府は今国会でこうした批判に対し、政府はきちんと説明をしていない。
さらに問題なのは予備費として異例の10兆円を計上したことだ。本来、予算は国会による事前議決が原則で、何に使うか決まっていない予備費はあくまで例外規定だ。政府は憲法違反の疑いがあるとの批判を受けて半額の5兆円分の大まかな使途を示した。だが、残り5兆円は「コロナ対策」としか説明していない。
持続化給付金を巡る不透明さや政府の説明不足は目に余る。予備費の「白紙委任」は認められない。政府は説明責任を果たし、国会は予算のチェック機能を発揮しなければならない。政府・与党は今国会を17日で閉会しようとしているが、延長してチェック機能を果たすべきだ。
コロナ禍は沖縄県経済を直撃し、失業率は昨年の2%台から4月は3・4%に上昇した。400人以上の解雇・雇い止めも確認されている。国の企業支援、雇用対策は待ったなしだ。予算の透明性を確保し、一日も早く窮する人に支援策を届けなければならない。
②【琉球新報社説】アベノマスクの教訓 税金の無駄遣いを許すな
<社説>アベノマスクの教訓 税金の無駄遣いを許すな2020年6月16日 06:01
やゆして終わりではいけない。むしろ今、改めて検証すべきだ。新型コロナウイルス感染症への対応策として政府が取り組む通称「アベノマスク」のことである。
安倍晋三首相は4月1日、拡大するマスク需要に「極めて有効だ」として、洗って再利用できる布マスクを全国約5千万世帯に2枚ずつ配布すると発表した。費用は当初、466億円と説明された。
首相やその周辺による突然の発表に当時、驚きの声が広がった。そもそも布製マスクは繊維の隙間が大きいため一般的なマスクに比べて予防効果が限定的だ。3人以上の世帯の場合は全員に行き届かない。個人向け給付金の額が決まっていない段階だったこともあり、当初から疑問の声が多かった。
マスクの一部は汚れや異物混入が相次ぎ、回収や検品に追い込まれた。サイズが一回り小さく、耳にかけるひもが細いなど、形状にも批判がある。5月末までに全世帯へ届くはずだったが、配布は大幅に遅れた。
この間に中国からのマスク輸入が増え、一時高騰していた価格は下がり、入手しやすくなった。施策のスピード感のなさも浮き彫りになった。
こう見ると、アベノマスクは税金の無駄遣いの象徴だ。契約額は約260億円に圧縮されるというが、施策の判断やタイミング、業者への発注から郵送までのプロセス、費用対効果などを詳しく検証する必要がある。
不良品やマスク市場の変動などが想定外だったとしても、首相の責任は免れない。天下の愚策と言える。
108兆円以上の巨額な血税を投じる緊急のコロナ対策がこれから本格化する。アベノマスクを教訓として次に生かさなければ、かつて経験したことのない税金の無駄遣いが行われる恐れがある。
このアベノマスクを有効活用しようと市民の間では、不要とする人に寄贈を募る動きが広がっている。高齢者や障がい者の施設などでマスクを必要としている人に届けることが狙いだ。反響は大きく、活動団体などには寄贈が殺到しているという。
そんな中、群馬県太田市内の全21郵便局が「アベノマスク寄付受け付けに協力します」として箱を設けたところ、日本郵便本社が「アベノマスク」とやゆする表現があったなどとして撤去した。担当者は「こちらが配達しているにもかかわらず、マスクを不要品であるかのように扱ったことは不適切だ」と述べている。
安倍政権に忖度(そんたく)したのだろうか。政府から受注し配達することと、受け取った側がマスクをどう扱うかは別の話だ。「アベノマスク」という呼び名は既に国民の間に定着している。無駄遣いの象徴にも映る、その通称を使って有効活用を図るのはむしろ健全だ。コロナ禍脱出に向けて求められるのは忖度ではない。血税の有効活用だ。
「後手は許されない」ならば「先手を打つ」必要があろう。
だが、未来のことは判らないのだから「打った先手」が「結果として不要であった先手」となることは、あり得ること。「結果として不要であった先手」は、当たり前だが「税金の無駄」となってしまう。
逆に「税金の無駄を恐れて、先手を打たない」ならば、「後手に回る」事は不可避だ。「先手を打たない」以上、状況に合わせて手を打つしかないのだから。即断即決で瞬時に「手を打った」所で、その手が効果を現すには、「遅れ」が当然ある。余程のことが無い限り、「後手に回る」のは、理の当然だ。
であるならば、上掲琉球新報社説①「対策の後手は許されない」且つ上掲琉球新報社説②「税金の無駄遣いを許すな」を満足するためには「誤ることなく先手を打ち続ける」しか無い。それはつまり無謬と言うことであり「人間業では無い」、神の御技の領域となる。
即ち、上掲二本の琉球新報社説を合わせると、「安倍首相は誤ることなく先手を打て。」であり、タイトルにした通り「安倍首相は、神であれ。」と要求するに等しい。まあ、言うだけならタダ、だけどね。
「アベノマスクは、税金の無駄!」って断定断言も、「随分と皮相的な考え方しかしていないな。」と評せるが、「安倍首相は神であれ!」って主張の前には、消し飛ぶ様な些事だな。