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新年早々に「厳しい現実」に直面する事になる(だろうとほぼ確信している)が、読売が「銚子沖に設置する計画の洋上風力発電で原発一基分を発電する」なぁんて記事(但し、有料)を公開するモノだから、これは看過もなるまい。
【読売】原発1基分の「洋上風力発電」計画…海底に土台【読売】原発1基分の「洋上風力発電」計画…海底に土台2019年01月02日 06時55分【】 東京電力ホールディングスが、国内最大級となる洋上風力発電所の建設を計画していることがわかった。原子力発電1基に相当する100万キロ・ワットを超える発電能力を想定し、千葉県銚子沖などを候補地として念頭に置く。福島第一原発の事故に伴う廃炉や除染などの費用を賄うためにも、世界の潮流となっている再生可能エネルギーの拡大に活路を見いだす。【】 計画によると、実績が豊富な欧州の洋上風力メーカーと提携し、1兆円規模の事業費を投じ、沖合に1基5000キロ・ワット級の風車を約200基設置する。風車の土台を海底に設置する着床式とする。平均的な家庭で約30万世帯の年間の電力消費を賄える。【】 発電した電気は、再生エネの普及を目的とした国の制度である固定価格買い取り制度(FIT)を活用し、安定的な収益を確保する。(ここまで346文字 / 残り289文字)
さぁってと、はじめるとするか。-ラビニア姉御-
1> 1兆円規模の事業費を投じ、沖合に1基5000キロ・ワット級の風車を約200基設置する。
2> 平均的な家庭で約30万世帯の年間の電力消費を賄える。
と、上掲記事に明記されている。「1兆円規模の事業費」ってのはひとまず置いて、「1基5000キロ・ワット級の風車を約200基」ってんだから、完成したらさぞや壮観ではあろう。世界でも有数の混雑海域である東京湾からもほど近く、船舶の航行には思いっきり邪魔な気はするが、そこは「折り合いが付いている」モノとして、ここでは発電所としてだけ評価することとしよう。
5000KW × 200 = 10^6 KW ・・・式(1)
であるから、「百万KW =ギガW」が定格発電量(って事は、新型原子炉なら一基分だな)。例によってこれが一日に24時間365日発電できたとすると(*1)したとすると、
10^6 KW × 24h × 365日 = 8.76×10^9 kWh ・・・式(2)
これに対し、「平均的な家庭で約30万世帯の年間の電力消費」を元に、この200基の風車で発電できると予想されている発電量を推算すると、以前から使っている「平均的な家庭での年間の電力消費 3600kwh」を使うと、
3600kwh × 30万世帯 = 3.6×10^3kwh × 3×10^5世帯
= 1.08×10^9 kwh ・・・式(3)
と言うことは、この洋上風力発電の稼働率は、
1.08×10^9 kwh ÷ 8.76×10^9 kWh =0.1232 =12.3%・・・式(4)
って事で、「稼働率、一声一割」であって、四捨五入しても二割にすらならない。
つまり「この洋上風力発電所は、最大発電量こそ”原発一基分”ではあるが、年間を通じての稼働率は一割にしか過ぎない」のである。
糅てて加えて、再三指摘している通り、風力発電の発電量は(それを言うならば太陽光発電の発電量も)「出来高」で、「必要なときに発電量を増やす」訳にはいかないし、「不要なときには、発電しないか発電量を減らす(*2)ことしかできない」のであり、「大容量高効率の畜放電技術の完成・普及まで、太陽光や風力などは発電の主体とはなり得ない」のである。
大容量高効率の畜放電技術なぞ見通せる将来にわたって存在しない現時点では、上掲毎日記事の稼働率1割しかない「ギガワット級洋上風力発電所」が完成したとしても、「平均的な家庭で約30万世帯の年間の電力消費を賄える。」と言うのは「数字の上のお遊び」でしかないのである。
寝言は、寝て言うが宜しかろう。
それはそうと、北朝鮮は滅ぼすべきだな。
<注記>
(*1) 「風力発電に、そんな発電は出来ない」のは百も承知。だが、火力発電や原子力発電ならこれに近いことが出来る。「理想の発電所」とは「いつでも最大発電量で発電できる発電所」なのだから、仮の値としてこの「理想的年間発電量」を計算する。その発電方法に依らず、ね。(*2) 風力発電だから、風車の羽根ピッチを変えて、効率の悪い発電をすることで、発電量を減らせる。多分。
私の原発推進論&自然エネルギー推進論
私の原発推進論&自然エネルギー推進論
① エネルギー政策の目的は、見通せる将来に渡って「電力の安定供給」である。電力を電力需要にあわせた必要充分な電力量を停電させずに安価に安定した電圧で給電する事である。② 現時点においては大容量の電力を蓄電する技術はない。精々が揚水式水力発電の上の方のダムに水として蓄える程度である。また、将来的に大容量蓄電技術が確立普及したとしても、蓄電して取り出す電力には必ず損失が付きまとう。③ 大容量蓄電技術が普及するまで、電力は、必要量に応じて発電し送電しなければならない。④ 必要に応じて発電できる、制御可能な発電力は、火力、原子力、大分落ちて水力である。⑤ 「再生可能な自然エネルギー」太陽光、風力、地熱、潮汐力などは、「態と発電しない」ことしか出来ず、原理的に制御不可能な発電力である。これは、発電コストが如何に安くなろうと変わりようが無い。⑥ 従って、大容量の蓄電技術が普及するまで、「再生可能な自然エネルギー」は発電の主役たり得ない。⑦ 少なくとも大容量の蓄電技術が普及するまで、発電の主役は、火力、原子力、大分落ちて水力である。これに付け加えられるとすれば、バイオマス火力発電ぐらいである。この中で原子力は、制御のレスポンスが鈍い恨みはあるモノの、比較的狭い敷地で大きな発電量を二酸化炭素排出なしで発電できる利点を持つ。また発電コストとしても、「福島原発事故に対する補償や対策を加味して漸く火力に負けるかも知れない」程度であり、水力に対しては依然優位である。⑧ 従って、火力と原子力は共に不可欠な発電方であり、水力以外の「再生可能な自然エネルギー」の発電量は、全体の1割程度とすべきであろう。尚且つ我が国では、水力発電の開発が進んでおり、水力発電の劇的増加は望めない。⑨ 以上から当然ながら、我が国に原発は不可欠である。我が国の現時点での脱原発なぞ、愚挙にして暴挙である。⑩ ドイツやベルギーがお気楽に「脱原発」を実施できるのは、電力が足りなければフランスの原発から電力を輸入できるからである。これら西欧諸国の「脱原発」は、「ナンチャッテ脱原発」と呼ばれるべきであろう。