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何度か繰り返しているが、私(ZERO)は、逆立ちしたって食通・グルメではない。
「空腹は最高の調理人」と言うのは今でも至言と考えているし、「質より量」と断言できるほどの食欲魔神では(今は)ない心算(*1)だが、「美味いモノちょっと」なんて達観は出来そうにない。況や「高くても美味いモノちょっと」なんて、我慢がならない「貧乏性」だ。とうてい食通だの、グルメだの自称も他称もしようがない。
であるならば、所謂、だいぶ前にはそこそこ流行したらしい「グルメ漫画」なんてほとんど読まないし、グルメ雑誌やグルメ記事もグルメ番組もとんと縁がない。まあ最後者は、私(ZERO)が「基本的にテレビを見ない」事と無縁ではないが。
そんな「アンチグルメ」とも言うべき私(ZERO)が「異世界居酒屋のぶ」なんて文庫本を、発見した日に即日購入し短時日で読破してしまったのは・・・一つには、この小説の漫画化/マンガ版を立ち読みしたから、だ。
そんな「アンチグルメ」とも言うべき私(ZERO)が「異世界居酒屋のぶ」なんて文庫本を、発見した日に即日購入し短時日で読破してしまったのは・・・一つには、この小説の漫画化/マンガ版を立ち読みしたから、だ。
中世を思わせる(*2)、月が大小二つある異世界の古都。その片隅に店を開く居酒屋「のぶ」。タイショーと呼ばれる寡黙な板前兼店主と、老舗料理屋の一人娘であり絶対的な味覚がある(らしい)女給のシノブの二人で始めた(*3)この店は、裏口が現代日本とつながっていて、ガスも水道も日本側から供給される(らしい)ことから、現代日本の新鮮な食材と豊富な居酒屋メニュー、それにタイショーの腕とシノブの愛嬌(*4)で、数々の困難を乗り越えつつ、異世界・帝都で確固たる人気を得て行く・・・・
どころか、この異世界の大国・帝国の先代皇帝はお忍びで来るわ、宗教的中心人物は来るわ、周辺を治める貴族の後継者は朝から入り浸るわ、食を歌う当代一流の吟遊詩人に言葉を失わせるわ、皇帝のお見合い会場にはなるわの、大騒ぎ。
その「大騒ぎ」を、各話大凡一品の「居酒屋メニュー(*5)」を巡るエピソードでつづる、「ほっこり系ファンタジー」とでも呼べそうな作品。ああ、ファンタジーとは言え、ドラゴンも妖精も登場しないし、亜人としてエルフの名が上がるが実在すら疑わしい。食材となる動植物は「こちら=現代日本」との差異はないようだし、食材でないらしい動植物の一部がこちらとは異なる(らしい)ぐらい。魔法はあるんだかないんだか判らない程度にしかないし(*6)、異世界とは言え、「ファンタジー要素に乏しい」とは言えそうだ。
ま、その分「人間ドラマ」が幅を利かせている。
タイショーは、「こちら=現代日本」の老舗料理屋で修業していた板前で、経営が傾いて店を飛び出し、同じく経営傾きの煽りを食らって家出(*7)してきた老舗料理屋の「お嬢さん」しのぶと「こちら」現代日本で店を開く。
ところが、「こちら」では店はうまく行かなかったらしい。見かねた近所のお稲荷さんが、その神通力で「異世界」古都に開店させた・・・らしい(*8)。この「お稲荷さんの神通力」が、本作品最大の「ファンタジー要素」かも知れない。後は大抵「別にファンタジー世界でなくても、タイムスリップやタイムトンネルでも、つまりはSFで充分」な気がするが・・・そこは作者の趣味、読者の嗜好なのだろう(*9)。無論、SFってのがScience Fictionとは限らずSpace Fantasyとも言われることを知っての上で、だが。Spaceではなさそうだしな。
さはさりながら。時代背景ぐらいしかファンタジー=荒唐無稽要素が無く、人間ドラマが主体となれば、本作品「異世界居酒屋のぶ」は、何も「異世界」でなくても「良い」と言うのが道理であるが、そこがあえて「異世界」であるのは、「商業的価値=その方が売れる」と言うのもさることながら、「強制的なカルチャーギャップ発生装置」なのだろう。
さはさりながら。時代背景ぐらいしかファンタジー=荒唐無稽要素が無く、人間ドラマが主体となれば、本作品「異世界居酒屋のぶ」は、何も「異世界」でなくても「良い」と言うのが道理であるが、そこがあえて「異世界」であるのは、「商業的価値=その方が売れる」と言うのもさることながら、「強制的なカルチャーギャップ発生装置」なのだろう。
ソリャ中世を思わせるファンタジー世界で、「キンキンに冷えたビールとジョッキ」(この世界では、”トリアエズナマ=とりあえず生”と呼ばれることになる)は、インパクト大だろう。それ故に「居酒屋のぶ」の常連が増え、そのビールの製法と流通を巡る「陰謀劇」の材料ともなり、解決策・・・はまあ、ビールとは直接関係ないが、常連さんは大いに寄与している。
それにつけても、北朝鮮は滅ぼされるべきである
<注記>
(*1) 自慢じゃないが健康体な男子だったんだ。中学・高校時代の食欲・喰う量は、人後に落ちなかったと、断言できる。
(*2) ファンタジーのお約束だな。「剣と魔法の世界」なんて異名もあるから、剣がデカい顔していた頃でないと都合が悪いのだろうが。ああ、GATEの異世界「特地」は、中世と言うより古代ローマのようであったが。「のぶ」の世界には珍品扱いらしいが「鉄砲」があるし。(牡蠣の中毒を説明するため、作者の都合ってことは・・・ひょっとしたらあるかも知れないが。「ハードファンタジー」なんてのは、私(ZERO)の造語の域を出ていないからなぁ。多分。)(*3) 男女二人で始めたが、夫婦とか恋人とかではない、らしい。(*4) と、一度来客したお客はその好みからご注文、人相風体その他諸々記憶している、「歩くデータベース」らしい。(*5) ・・・とは限らないが、食い物か、飲み物。「ウナギ弁当」は、普通居酒屋では出て来ないだろうし、況や店外で売ってはいないだろう。(*6) 青い宝石の「出会いの御守り」ぐらい、だね。(*7) 融資の条件として銀行員の息子と結婚させられそうになったって、設定。「ありそうな話」とは思うが、「息子と結婚してくれるなら、融資しよう」なんて情実融資は、経営者として失格だと思うぞ。(*8) 「こちら」現代日本の店は兎も角、「あちら」異世界の古都の店がどう現出したかは、「どこでもドアの出口」と同じぐらい謎だ。(*9) 「お前(ZERO)自信も、読者の一人じゃないか」と言う指摘は、甘んじて受けよう。