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【日経社説】再生可能エネルギーを着実に伸ばすには
2017/8/28付

【】 太陽光や風力など、再生可能エネルギーの割高なコストを電気料金に上乗せし、消費者に負担してもらうことで普及を促す「固定価格買い取り制度」が2012年7月に始まってから5年が過ぎた。

【】 再生エネルギーを使う発電設備の能力は16年12月末時点で、導入前に比べて2.7倍に増えた。順調な伸びだといえるだろう。半面、これからも着実に伸ばしていくための課題も見えてきた。

【】 まず、量は増えても、制度が目指した発電コストの低減は十分とはいえない。

【】 確かに太陽光(事業用)の買い取り価格は制度開始後の5年で、半分近くまで下がった。しかし、海外との比較では依然、2倍以上の高さだ。風力や地熱など他の再生エネルギーの買い取り価格はほとんど下がっていない。

【】 買い取り制度は消費者が割高なコストを肩代わりすることで、競争力で見劣りする再生エネルギーに「ゲタを履かせている」状態だ。だが、17年度の買い取り費用は2兆円を超える見通しだ。

【】 量の拡大と国民負担の抑制の両立を探らねばならない。そのためには、再生エネルギーのコスト競争力を高め、自立を促す仕組みに制度を変えていく必要がある。

【】 政府は大規模な太陽光発電については今秋から、事業者を選ぶ入札制を導入する。売電価格の安い事業者から順番に選ぶ。

【】 風力発電などは導入状況に応じて毎年決めていた買い取り価格を3年先まで決めるようにした。コスト低減を織り込んだ価格をあらかじめ示し、事業者の競争を促す。こうした工夫に期待したい。

【】 再生エネルギーを日本全土で有効利用するための送電線の使い方も考える必要がある。

【】 太陽光や風力発電所は自然条件などの理由で立地が偏る。再生エネルギーでつくった電気を、都市などの大需要地に持っていくための送電網の整備を進めたい。

【】 地域をまたぐ送電網は現在、先着順で事業者に容量を割り当てている。来年度にも、事前に割り当てを固めず、卸電力市場での電力売買を通じて柔軟に決める方式に変える。送電網に無駄な空きをつくらず、最大限活用する道を考えることも大切だろう。

【】 再生エネルギーは温暖化ガスを出さない国産のエネルギーだ。最大限増やしていきたい。自立したエネルギー源として育てる取り組みを続けていかねばならない

 これが「日本を代表する経済誌の社説」とは、情けなくって涙も出ねぇな。


1> 再生エネルギーは温暖化ガスを出さない国産のエネルギーだ。
2> 最大限増やしていきたい   つつけていかねばならない。

・・・げに恐るべき事に、上記1>~2>上掲「日本を代表する経済紙」日本経済新聞の社説の結論・〆なのである。

 先行記事「私の自然エネルギー推進論」で縷々述べたとおり、太陽光や風力なんて「発電量が制御できず、日照や風任せ」な再生エネルギーは、上掲日経社説で辛うじてふれる「地域的偏在」ばかりか「時間的偏在」も著しい(*1)ため、「大容量・高効率な畜放電システム」を開発・普及しない限り「発電の主力とはなり得ない。」のである。
 
 しこうして、そんな「大容量・高効率な蓄放電システム」は未だ影も形も原理もない。揚水式水力発電の揚水ダムが辛うじて「大容量」ではあるが、効率は低いし、普及はもっと絶望的だ。

 電池ぃ?自動車を走らせ、家庭用電源ぐらいにはなるだろうが、そこまでだ。電気炉を稼働させ、電車を走らせる、重電レベルでないと「大容量」とは言えない。発電の主力を担うには「重電レベルの大容量」は不可欠だ。

3> 再生エネルギーを使う発電設備の能力は16年12月末時点で、
4> 導入前に比べて2.7倍に増えた。順調な伸びだといえるだろう。

などと上掲日経社説冒頭近くで脳天気にも述べているが、「導入前に比べて2.7倍に増えた」結果が「電力発電シェアの数%にとどまるからこそ「大容量・高効蓄放電システムは未だ影も形も原理もない」現状で太陽光や風力のような再生エネルギーが発電しても何とかなっている。

 「何とかなっている」のは「再生エネルギーの発電量や電力需要の変動にあわせて発電量を制御できる発電方式」のおかげ。平たく言えば、火力・水力・原子力だ。

 しこうして、少なくとも「大容量・高効率な畜放電システム」が開発され普及するまでの間(*2)、発電の主力は「変動する再生エネルギーの発電量と電力需要にあわせて発電量を制御できる火力・水力・原子力」であり、幾らかオマケしてバイオマス火力発電ぐらいしか、あり得ない。

 これは、何もエネルギーの専門家でなくても、「小さな灰色の脳細胞」さえ持ち合わせていれば、殆ど自明な事。

 だが、上掲日経社説の通り、日経記者や日経デスクには、「自明のことではない」らしい。

 そもそもエネルギー政策ってのは、見通せる将来にわたって「電力を安定的に供給すること」だ。この「安定的」には「安価に」を含む。

 上掲日経社説は、「電力を安価に供給する」という視点は辛うじてあるようだが、「安定的」という視点が全くと言って良いほど欠けている。さらには「再生可能エネルギーのシェア拡大」が自己目的化している。
 到底、経済紙の視点ではないな。アジビラレベルのプロパガンダだ。

<注記>

(*1) 太陽光は、日没から日の出まで1kwも発電しないのだから、当然だな。
 
(*2) 何年先のことか、私には検討すらつかないが。百年、かねぇ。 

私の原発推進論&自然エネルギー推進論私の原発推進論&自然エネルギー推進論

① エネルギー政策の目的は、見通せる将来に渡って「電力の安定供給」である。電力を電力需要にあわせた必要充分な電力量を停電させずに安価に安定した電圧で給電する事である。

② 現時点においては大容量の電力を蓄電する技術はない。精々が揚水式水力発電の上の方のダムに水として蓄える程度である。また、将来的に大容量蓄電技術が確立普及したとしても、蓄電して取り出す電力には必ず損失が付きまとう。

③ 大容量蓄電技術が普及するまで、電力は、必要量に応じて発電し送電しなければならない。

④ 必要に応じて発電できる、制御可能な発電力は、火力、原子力、大分落ちて水力である。

⑤ 「再生可能な自然エネルギー」太陽光、風力、地熱、潮汐力などは、「態と発電しない」ことしか出来ず、原理的に制御不可能な発電力である。これは、発電コストが如何に安くなろうと変わりようが無い。

⑥ 従って、大容量の蓄電技術が普及するまで、「再生可能な自然エネルギー」は発電の主役たり得ない。

⑦ 少なくとも大容量の蓄電技術が普及するまで、発電の主役は、火力、原子力、大分落ちて水力である。これに付け加えられるとすれば、バイオマス火力発電ぐらいである。この中で原子力は、制御のレスポンスが鈍い恨みはあるモノの、比較的狭い敷地で大きな発電量を二酸化炭素排出なしで発電できる利点を持つ。また発電コストとしても、「福島原発事故に対する補償や対策を加味して漸く火力に負けるかも知れない」程度であり、水力に対しては依然優位である。

⑧ 従って、火力と原子力は共に不可欠な発電方であり、水力以外の「再生可能な自然エネルギー」の発電量は、全体の1割程度とすべきであろう。尚且つ我が国では、水力発電の開発が進んでおり、水力発電の劇的増加は望めない。

⑨ 以上から当然ながら、我が国に原発は不可欠である。我が国の現時点での脱原発なぞ、愚挙にして暴挙である。

⑩ ドイツやベルギーがお気楽に「脱原発」を実施できるのは、電力が足りなければフランスの原発から電力を輸入できるからである。これら西欧諸国の「脱原発」は、「ナンチャッテ脱原発」と呼ばれるべきであろう。

冷たい推算式・シリーズ