「孔明のヨメ」 5巻

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 「実は三国志のヒーロー」孔明に、ひょんなことから唐突に嫁入りした月英さんを主人公とする連載四駒マンガが、「孔明のヨメ」。その1~3巻および4巻については、既に幣ブログで記事にした(*1)。今回取り上げるのは、新刊の5巻である。
 
 義父や士元の活躍もあって「曹操の策を破る策その1=塩の割符買い取り制」は、意外なぐらい迅速に軌道に乗り、続く「曹操の策を破る策・その2・鉄の品質向上=現状の鉄品質劣化証明」の為に、「荘園経営の実績」を利用して、月英さんの叔母に当たる祭夫人への献策も実行。この献策がひょんなことから劉備玄徳の耳に達する・・・までが4巻。劉備玄徳の(再)登場で「三国志らしくなってきた」と、言えよう。

 士元と孔明の合作にして自信作「曹操の策を破る策・その2・鉄の品質向上=現状の鉄品質劣化証明」が祭夫人を通じて祭氏に伝えられ、劉備の耳にも達する。その場は空とぼけた劉備だが、「鉄品質劣化」の情報に、国防の危機=武器防具の劣化と「曹操の陰」を感じて単身襄陽市内の探索に出て・・・叙兄と出会う。

 一方、義父からの「「曹操の策を破る策・その2・鉄の品質向上策、動く」の朗報に大いに喜び、自信を深める孔明だが、主人公(の筈)のヨメちゃん=月英さんが過労で倒れ、それを契機に(*2)「頭の中の知識が具体的につながり始め」・・・一言で言えば孔明さん、「国防意識に目覚める(*3)」運びとなる。
 前の4巻では、「戦争・軍事よりも、生産・農業の方が性に合っている」などと(*4)抜かす「平和主義ぶり」を見せていた孔明が、来訪してきた叙兄と士元をとっつかまえて、相当無理矢理の「三つ巴の模擬戦」を始める始末。相当劇的、激烈な「国防意識の目覚め」と言うべきだろう。
 
 「3人でやると、全然終わらないのな。」叙兄

 「頭の使い方も、二人の時とはケタ違いだ。」士元

 この「三人模擬戦」が、後の「国家三分の計=蜀の建国」に繋がる・・・に違いない。
 
 その後、義父・黄氏から「社日の司会・進行・主催者」を任せれる孔明。着実に「頭角を現し始めた」孔明&士元を目にして、(一応)先輩たる叙兄も焦りを感じ始め、水鏡先生に相談し、「仕官の道」を考え始める。
 元任侠で前科があり、襄陽では無理でも、襄陽以外ならば・・・と考え、襄陽市内を徘徊だか巡回だかしている(*5)ところへ、先述の通り市内探索中の劉備と出い・・・一緒に子龍を巻く。

 他方で士元は孫堅に仕える魯粛と出会い、ヘッドハンティングを受ける。孫堅を「仕え甲斐のある君主」と即答・断言する魯粛に、「そんな者、いるんだったら見てみたい。」と、相当シニカルな士元。

 一方、社日のイベントとして「お客様(一般大衆)も孔明さんも喜ぶだしもの」の企画を父・黄氏から依頼されたヒロイン・主人公(の筈)・月英さんは・・・其のイベントが5巻のクライマックスをなすのだが、そいつはまあ、読んでのお楽しみだ。

 仕官の道を探り始めた叙兄。ヘッドハンティングを受けながら襄陽及び現職にとどまる選択した士元。社日の司会を無事終え、地縁も評判も安定してきた孔明。そしてイベントを成功させ、ますます孔明に尽くす月英さん。今回は策を破られた曹操や、叙兄の仕官先候補に挙がってようやく主人公=月英さんと縁が出来た劉備(*6)と、「三国志らしさ」を増してきた新刊・5巻。連載は継続中であり、続巻が待たれる・・・「ご期待ください」(*7)ってやつかな。

 あ、もひとつ忘れてました(*8)。

 叙兄の母・叙母さんの出番・見せ場が5巻では少なかったぞ。
 月英さんを「圧死」させかけたぐらいだ。いや、これはこれで、一つの「見せ場」であることは認めるにやぶさかではないが。


<注記>


(*2) 具体的には、月英さん過労の原因の一つが「荘園の防衛設備設計」だったことから。 

(*3) 「文字として書かれて」はいないが、そういうことだろう。

 豊かになった荘園を、愛する月英を、外敵から守ることが、襄陽を守ることにつながるのだから。 

(*4) 正確には、「実際に関わるなら。やはり畑の方が良いです。」 

(*5) 考え事をしながらも無意識に体が動く(らしく)、喧嘩は仲裁するは、ひったくりは取り押さえるは、大活躍。 

(*6) 関羽と張飛には、1巻で接触している。 

(*7) 昔のテレビ番組の締めは、大概この台詞だった。今はどうだか、知らないが。予告編ってのも、大分減ったかな。 

(*8) さーて、この決め台詞の出所は 



孔明のヨメ