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③【中央日報コラム】大韓民国は幽霊船になるのか

2016年05月18日11時26分
[? 中央日報/中央日報日本語版]

【1】 キリスト教分派の1つであるクエーカー教徒だったハム・ソクホン先生の韓国戦争(朝鮮戦争)体験記だ。大邱(テグ)の大きな教会に避難民が集まったが「イエスを信じない人は受け入れない(*1)」と言っていたが、後になって「キリスト教徒を先に受け入れよう」と言ったという(*2)。人ごみにまぎれて入ろうとごまかす者まで出てきた。すると教会は真偽を選別するめ主祈祷文を暗記する試験を受けさせた。先生は50年後に「それで主祈祷文を書けと教えてくれたのか」と一喝した(*3)。

【2】 韓国戦争は数百万人が犠牲になった地獄の体験だった。両班(ヤンバン)だと大声を上げた人も、生きている間は口にクモの巣をはるまいと荒仕事をしたり空き缶を持ってもの乞いをしたりした。イエスは敵を愛せと教えたが、教会は救援の手段である祈祷文を差別の武器として使った。お金も「後ろ盾」もない民衆は避難列車に席がなく屋根に乗って落ちて亡くなったが、高官はピアノや応接セットに犬の食器まで載せた。人間の威厳を守る廉恥と道徳は立つ瀬がなくなり、お金と権力が“両大神”になった。

【3】 戦争が終わって63年が過ぎたが、私たちはいまだに心理的な避難民として生きている。お金や権力がなければ、こびることでもしなければ生きられないという強迫感が支配している。5年間で239人の命を奪った加湿器殺菌剤事件がそれを悟らせてくれた。生存被害者は「リビングのセウォル号事件」と呼ぶが適切な命名だ。304人を水葬させたセウォル号は2時間半で沈没し、「リビングのセウォル号」は22年かけて徐々に沈んだ。1994年に国内企業が世界で初めて加湿器殺菌剤を開発して以降、事故を防ぐ7回の機会があったが管理・監督責任がある政府はいずれも逃した。そんなことをしておきながら環境部長官はついに謝罪を拒否した。国民は今、誰を信じて生きるべきかと問うている。

【4】 加湿器殺菌剤の製造・販売社であるオキシーから支援金をもらって有利な意見書を書いた容疑で拘束された教授は、オキシーの法定代理人である大手ローファームが歪曲を主導したと主張する。オキシーが大手ローファームの諮問を受けて検察に提出した77ページの意見書には「春季の黄砂と花粉が死亡者の肺疾患の原因でもある」と記されている。初めての死亡者が確認されてから5年が過ぎるまで検察は捜査に入らなかったし、マスコミは絶叫する被害者らを見ても沈黙していた。

【5】  お金と権力、専門知識を持つ集団が絡まり合って作り出した不条理劇だった。私は罪人の気持ちで反省する。お金と権力の乱暴な疾走は、今も終わっていない。オーナー企業家は経営難で倒れていく会社からお金を引き抜いて自分の血族の「仕事の通行税」を獲得するかと思えば、暴落直前の株式をこっそりと売り払った。このように恥知らずに駆け寄ってきて数十億ウォンずつ飲み込みながら、国民の血税を投じて会社を生かしてほしいと手を差し出せるのか。この頃うまく行っているローファームは、力のある親を見て戦略的に採用したロースクール出身の「金の箸とスプーン」の弁護士を、親の力がなくなった後に放出できず苦悩中だという。自分だけ生きるために廉恥と道徳を捨てた避難時代と何が変わったのか。

【6】 それならばほかの人々は、いったいどのように生きているだろうか。1人あたりの所得700ドルの世界最貧国ネパールの「ラーメン王」である億万長者ビノード・チョードリーは昨年4月、強震が発生すると私財をはたいて被災者に家屋1万軒分を作った。彼は「ある社会で蓄積した富ならば、その社会のために使われなければならない」と話す。

【7】 シアトル市は米国で初めて来年まで時間あたりの最低賃金を15ドルに引き上げることにした。この運動を主導した人は億万長者であるITベンチャー企業家のニック・ハナウアーだ。サンフランシスコとロサンゼルスを含むほかの都市もシアトルの影響を受けて最低賃金を引き上げている。ニューヨーク・タイムズは企業家兼市民運動家を自任している彼を「抵抗的な億万長者(billionareheading to barricade)」と呼ぶ。稼いだ金の90%以上を社会に還元するといったマイクロソフトの創業者ビル・ゲイツは「社会主義の億万長者(socialist billionare)」とも呼ばれる。彼は相続税の廃止に反対し、法人税の増税に賛成している。彼らは「私腹だけ肥やそう」といって避難時代にとどまっている韓国の賎民の資本主義を嘲弄している。15世紀後半に開かれた大航海時代の風はまさに命だった。風が消えた海の帆船はびくともせずに、飢えて亡くなった船員たちの骸骨がごろごろする幽霊船にもなった。今、大韓民国は1492年の新大陸航海を終わらせて帰還したコロンブスが20日間の苦闘の末に抜け出したサルガッソ海の無風地帯に閉じ込められた身上ではないか。それならば民心の政権の審判から誕生した第20代国会は、どうにかして変化の風を起こさなければならない。それができなければ市民が乗り出してお金と権力の恥知らずなカルテルを破壊し、新しい規則を定めて反則王をリングから引きおろすほかはない。それこそ大韓民国が巨大な幽霊船に転落する境遇から逃れさせる道だ。
イ・ハギョン論説主幹



<注記>


(*1) これは、キリスト教はじめとする一神教にはよくある排他主義だが、斯様な状況でその排他主義を発揮されるとは、胸糞が悪くなるな。 

(*2) 緩和はされたものの、排他主義と非人道性に大差はあるまい。 

(*3) 左様な惨状・悲劇の50年後に言ったことを「一喝した」と、韓国では言うらしいな。 



このコラムのロジックと登場人物からすると、「大韓民国は幽霊船にしかならない」じゃぁないのか????



 最後の最後の一節まで、何を主張したいのか、理解させまいとして書かれたコラムと思えて仕方がない、その意味で大変な悪文であり、駄文」である上掲中央日報コラム(*1)だが、上掲中央日報コラムから「登場人物」をリストアップすると、以下のようになろう。

① クエーカー教徒だったハム・ソクホン先生

② 朝鮮戦争(上掲コラムでは”韓国戦争”)で被災した韓国人避難民

③ 加湿器殺菌剤事件で被害を被った韓国人被害者

④ 加湿器殺菌剤に対し管理・監督責任がある韓国政府

⑤ 加湿器殺菌剤の製造・販売社であるオキシー社とその周辺の韓国人教授、弁護士、マスコミ

⑥ 韓国大手ローファームの弁護士

⑦ ネパールの「ラーメン王」である億万長者ビノード・チョードリー氏

⑧ アメリカのITベンチャー企業家のニック・ハナウアー氏

⑨ マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツ氏

 上記①から⑨の内、「私財をなげうって社会に還元した」⑦、⑧、⑨称賛し(*2)、その対極にある②、④、⑤、⑥を批難している。

 ②、④、⑤、⑥が「全て韓国人」であり、その「廉恥と道徳を持たない韓国人」を指して「大韓民国は幽霊船になるのか」とタイトルとし、悲憤慷慨しているのが上掲コラムの大半であり、実に、最後のパラグラフ【7】に至るまでは、朝鮮戦争まで遡って「幽霊船状態の韓国」の惨状と、「対照的な外国・外国人」の称賛、のみである。

 であると言うのに、上掲コラムの「〆」たる最終パラグラフの後半は…

1>  第20代国会は、どうにかして変化の風を起こさなければならない。
2> それができなければ市民が乗り出してお金と権力の恥知らずなカルテルを破壊し、
3> 新しい規則を定めて反則王をリングから引きおろすほかはない。
4> それこそ大韓民国が巨大な幽霊船に転落する境遇から逃れさせる道だ。

…散々外国人を称賛し、朝鮮戦争当時の戦災避難民と加湿器殺菌剤事件と言う惨状を歎じて居ながら、上記4〉「大韓民国が巨大な幽霊船に転落する境遇から逃れさせる道だ。」などと断言出来るのは、「大韓民国は、まだ巨大な幽霊船に転落していない」と言う現状認識がある筈、なのだが…「加湿器殺菌剤事件や、セウォル号事件と言う惨状・惨劇はあるが、まだ朝鮮戦争当時の被災避難民程の惨状・惨劇では無い」から「大韓民国は、まだ巨大な幽霊船に転落していない」と言う事、だろうか。

5〉 戦争が終わって63年が過ぎたが、私たちはいまだに心理的な避難民として生きている。
6〉お金や権力がなければ、こびることでもしなければ生きられないという強迫感が支配している。

と、上掲コラムパラグラフ【3】にもあるのだが、「それは、強迫感に止まり、実体化・現実化はしていない」と言う事だろうか。

 私(ZERO)の様な「韓国人以外」には、左様な強迫感だけでも十分「嫌な状態」ではあるが、そこから「巨大な幽霊船に転落する境遇から逃れさせる道」として上掲コラムが主張するのが、上記1〉「第20代国会」と上記2〉~3〉「市民が乗り出してお金と権力の恥知らずなカルテルを破壊し、新しい規則を定めて反則王をリングから引きおろす…後者は一言で言えば「革命」であろう。

 つまりは、上掲中央日報コラムは革命と同等の一大変革を、第20代国会に期待してる、事になる。

 まず、無理だろうね。

 第20代国会だろうが、革命だろうが、「市民が乗り出してお金と権力の恥知らずなカルテルを破壊し、新しい規則を定めて反則王をリングから引きおろす」事に成功したとしても、「廉恥と道徳を持たない韓国人」が変わらなければ「新たな反則王が誕生し、新たなお金と権力のカルテルが成立する」だけで、「大韓民国は幽霊船にしかならない」だろうさ。

 ご愁傷様。

 自業自得だから、同情なんかこれっぽっちもしないがね。


<注記>

(*1) 何しろ、タイトルに極めて抽象的な比喩としてしか登場しない上掲中央日報コラムの「主張」は、上掲コラムの最後の数行、即ち、

1>  第20代国会は、どうにかして変化の風を起こさなければならない。
2> それができなければ市民が乗り出してお金と権力の恥知らずなカルテルを破壊し、
3> 新しい規則を定めて反則王をリングから引きおろすほかはない。
4> それこそ大韓民国が巨大な幽霊船に転落する境遇から逃れさせる道だ。

に集約されている。もっと言えば主張は上記1>だけである。 

(*2) 尚且つ、「称賛されているのは、誰も韓国人では無い」事実を歎じ、