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 新ためて補足説明すると「二重思考」というのは「ダブルスタンダードの最上級」。ジョージ・オーウエルの小説「1984」に登場する言葉で、「ダブルシンクDouble Think」とも言う。小説「1984」は、別記事にも紹介していると通りある種のSFでもあるが、「社会主義一党独裁の恐怖を描いた政治的風刺小説」とも言い得る。「二重思考」はこの小説で描かれる社会主義一党独裁体制下に於ける国民に求められる資質で、要は「一党独裁党の政治宣伝に疑義を差し挟まないための恣意的(且つ、無意識的)判断基準」を指す。
 
 「一党独裁体制下に於ける国民似求められる資質」ではあろうが、現在の日本、少なくとも一定の範囲で言論思想の自由が保障されている体制下では、「二重思考」とは「思考停止」とほぼ道議であり、マスコミ初めとする言論を成す者に対し「二重思考」と評することは、痛罵に近い非難である。
 
 左様、「痛罵に近い非難」と承知の上で、敢えて毎日新聞社説を「二重思考」と断じてやろう。


【毎日社説】:自公の安保合意 政府案を追認しただけ毎日新聞 2015年05月12日 02時35分

  【1】 自民、公明両党は、政府が提示した安全保障関連法案の全条文に合意した。党内手続きは残っているが、与党協議はこれで決着した。政府は法案を14日に閣議決定し、国会に提出する。昨年5月以来、通算24回にわたった与党協議は、議論が深まらず、不十分なものに終わった。

 【2】 自衛隊の海外での活動を拡大したい政府・自民党と、歯止めをかけたい公明党。協議は、政府・自民党が終始、高めのボールを投げ、公明党がこれを大枠で追認しながらも、歯止めをかけたとアピールすることで「平和の党」としての体面を保とうとする格好で進んだ。

【3】 憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使を認めた昨年7月の閣議決定の内容について、公明党は「歯止めがきき、拡大解釈のおそれはない」と胸を張る。だが、行使の3要件が拡大解釈されず、歯止めとして機能するかどうかは、運用次第だ。

【4】 3要件にある「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生」の「他国」は、米国に加えてどんな国が対象になるのか。「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険」の「明白な危険」はどんな場合か。さらに議論を深めることが不可欠だったはずだ。

【5】 しかし、昨年7月以降、与党はその作業を意図的にやめた。自公の対立が蒸し返され、議論がまとまらなくなるのを避けたかったからだ。

【6】 議論の進め方もおかしかった。

【7】 政府は当初、昨年末に予定していた日米防衛協力の指針(ガイドライン)の改定に間に合わせるため、与党協議を急がせた。しかし、後に控える沖縄県知事選や統一地方選への影響を考えて、法案の国会提出を先送りする方針に転じ、議論は、半年余り棚上げされた。

【8】 2月に再開された与党協議では、政府が昨年の閣議決定の内容を拡大解釈したような法制案を次々と提案した。公明党は、新法「国際平和支援法案」での自衛隊派遣では、例外なく国会の事前承認を要件とするなど、いくつかの要求を実現したが、大きな流れは変えられなかった。

【9】 ここでも政府のスケジュールが優先された。安倍晋三首相の訪米を4月末に控え、それまでに与党の大筋合意にこぎつけることが暗黙の了解だった。そして首相は、先月の米議会演説で夏までに安保法制を成立させると約束した。

【10】 与党協議とは結局、連立政権維持を優先した結果、政府の意向を踏まえてまとめるための議論になってしまったと言わざるを得ない。自公の党内議論も「政高党低」という政権構造のもとで盛り上がらず、与党の活力の乏しさが目立った。


何が何故二重思考かというと

反論に非ず、せいぜい"泣き言"1―【毎日社説】「秘密法の報道 自民の反論は筋違いだ」の酷さ http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/38723819.html  URL: http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/38723919.html で取り上げた【毎日社説】「社説:秘密法の報道 自民の反論は筋違いだ」 2013年12月19日 02時35分  http://mainichi.jp/opinion/news/20131219k0000m070111000c.html では、

>  そもそも、政府は身内のチェックの限界を認めたゆえ、
> 成立直前に矢継ぎ早に複数の第三者機関を提案し、
> 成立後は国会の監視組織設置の動きまで出てきたのが実情だ。
  

と、特定秘密保護法案については法案の柔軟な対応・変更」を批難糾弾していたのに対し、今回は集団的自衛権行使容認法案を

> 政府案を追認しただけ

、「法案(政府案)の硬直性・不変性」を批難している。「君主は何をやっても悪く言われる」のは常とは言え、「君主を悪く言うだけ」では、言論人として恥ずかしい限りではないのかね。少なくとも、説得力も無ければ、オピニオンリーダーたり得ない。まあ、新聞が売れさえすれば事たれるなら、「オピニオンリーダー」なんざ目指すはすもないが、こうも節操なく説得力の無い「社説」を「新聞社の主張」として掲げては、いく新聞の地位が地に落ちたからとて、ますます売れなかろうに。