応援いただけるならば、クリックを⇒ https://www.blogmura.com/
 
 「WSJ紙+日本人/日系人女性記者=ダメ記事」と言うのは、何とも我ながら偏見に満ちた「公式」と言うか「ジンクス」である。偏見や差別なんてモノは、単に「いけない事、忌むべき事」と言うばかりでなく、偏見を持つ/差別する当人にとってもある種思考停止を強いるから結局の処「損な事」。だから私(ZERO)自身の差別・偏見は「なるたけ減らそう」とは考えている(*1)。

 その観点からすると、「我ながら偏見に満ちている公式/ジンクス」なんてのは、「直ちに糾弾され、放擲されるべきモノ」とも言えるのだが・・・「WSJ紙+日本人/日系人記者」による記事と言う「実績」が、それを簡単には許してくれない。
 
 であるならば、Yuka Hayashi記者による斯様なWSJ紙記事を、少なくとも看過する訳には行くまい。

 

<注釈>

(*1) そこはそれ、「無くて七癖」ではないが、神ならぬ身の人が為す事ゆえ、「偏見・差別は在るモノ/私(ZERO)自身有して居るモノ」と考え、ある意味諦観もしているのだが。 
 
【WSJ】尖閣諸島めぐるPR合戦、中国は日本より上手=米軍事専門家.
By Yuka Hayashi
http://realtime.wsj.com/japan/2014/03/27/%e5%b0%96%e9%96%a3%e8%ab%b8%e5%b3%b6%e3%82%81%e3%81%90%e3%82%8bpr%e5%90%88%e6%88%a6%e3%80%81%e4%b8%ad%e5%9b%bd%e3%81%af%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%82%88%e3%82%8a%e3%82%82%e4%b8%8a%e6%89%8b%ef%bc%9d%e7%b1%b3/?mod=WSJJP_Blog&mod=WSJJP_Blog

 尖閣諸島付近を飛行する日本の航空機尖閣諸島(中国名:釣魚島)をめぐるPR合戦で日本は中国にひけをとっており、形勢を逆転する必要がある、と2人の米著名退役軍人は指摘する。

 オバマ政権でアジア・太平洋安全保障担当の国防次官補を務めたウォレス・グレグソン元海兵隊中将は、「われわれはストーリーを変え始める必要がある。個人的な見方では、現在、われわれは(尖閣諸島をめぐる議論の)主導権を握っていない。中国に握られてしまっている」と述べた。
 グレグソン氏は退役海軍少将で米海軍分析センター上級研究員を務めるマイケル・マクデビット氏と共に、25日に都内で開かれた東シナ海の緊張をめぐるシンポジウムで講演した。

 両氏は、日本は戦後長く平和主義を貫いてきたにもかかわらず、中国は日本を軍国主義に駆り立てられた攻撃者として描くことに成功していると指摘。その結果、日本に徐々に圧力をかける中国政府の戦略が効果を上げているとの認識を示した。

 マクデビット氏は「中国の目的は、徐々にではあるが確実に日本政府を追い詰めることだと私は確信している」とした上で、「中国政府は日本政府が『降参』と言うのを期待している」と述べた。

 マクデビット氏は、日本はスタンスを変え、尖閣諸島の領有権をめぐる対立の存在を認めることによって攻勢に出ることができるだろうとの考えを表明。さらに、尖閣諸島をめぐる論争を国際司法裁判所に持ち込み、国際的な行動規定に従うことが正しいと確信していると主張することができると述べた。

 さらに、「そうすれば中国はそれに対処せざるを得ない。中国政府は無視することもできるが、少なくとも守勢に回る」とし、「そうでなければ、(中国政府による)ゆっくりながら確実な締め付けが続くことになり、その苦境から抜け出す方法は考えつかない」と語った。

 一方、グレグソン氏は、日米は中国や他の諸国に対し、日本国内に軍事力を持つ理由を明確に説明するよう提言。「中国に対する攻撃の意図はないが、日本を攻撃する意図がある国があれば、それに反撃するのがわれわれの計画だ」というメッセージを送るべきだ、と述べた。

原文(英語):China's PR on Islands Beats Japan's, Say U.S. Military Experts http://blogs.wsj.com/japanrealtime/2014/03/26/chinas-pr-on-islands-beats-japans-say-u-s-military-experts/
ウォレス・グレグソン, マイケル・マクデビット, 国際司法裁判所, 尖閣諸島
 
 

「講演会を聞いて、コメント貰ってきました」と言うだけの記事。一見

 さて、如何だろうか。
 
  「存外なくらいに真面な記事」と言うのが率直な感想だ。相応に挑発的な見出しと、「WSJ紙+日本人/日系人女性記者」なおかつ「By Yuka Hayashi」と言う今までにも槍玉にあげて来た組み合わせの割には記事本文は真面だ。見出しの通り「尖閣諸島をめぐる宣伝戦で中国が優位にある」としつつ(*1)、「米軍事専門家」二人の言を引用し、これに対し反撃しなければならないし、反撃法もある事を報じている。今まで読んできた「Yuka Hayashi」記者の手による以前の記事に比べたら、「出色の出来」と言っても良いぐらいだ。
 
 だが、その、「Yuka Hayashi記者の手による出色の出来」にして、この体たらく…即ち、章題にした通り、「オバマ政権でアジア・太平洋安全保障担当の国防次官補を務めたウォレス・グレグソン元海兵隊中将と米海軍分析センター上級研究員マイケル・マクデビット退役海軍少将の講演会を聞いてコメントを貰ってきました」と言うだけの記事。「淡々と事実のみを報じている」と言う点では「報道記事の鏡」と言う言い方も出来そうだが、「駆け出し記者どころか自動記事作成ソフトでも書けそうな記事」と評するのは、酷だろうか。
 
 尤も、
 
1〉  マクデビット氏は、
2〉 日本はスタンスを変え、尖閣諸島の領有権をめぐる対立の存在を認めることによって攻勢に出ることができるだろうとの考えを表明。
3〉 さらに、尖閣諸島をめぐる論争を国際司法裁判所に持ち込み、国際的な行動規定に従うことが正しいと確信していると主張することができると述べた。
 
と、さりげなく「尖閣諸島の領土問題化」を正当化して見せている辺りが、YukaHayashi記者のYuka Hayashi記者ぶりを発揮している、とも言い得る。
 
 つまりは、上掲記事の「駆け出し記者や記事自動作成プログラムとは異なる点」は、「己が(恐らくは予め定めた)主張を織り込む」と言う「報道記事としてあるまじき点にある」と言えよう。
 
 となるならば…やっぱり「WSJ紙 + 日本人/日系人女性記者 = ダメ記事」って「公式/ジンクス」が、裏書されてしまうのである。困った事に。

 

<注釈>

(*1) 中国は日本を軍国主義に駆り立てられた攻撃者として描くことに成功していると言う主張には、大いに異議も疑義もあるが。そりゃ滑って転んでも「日本軍国主義ぃぃぃぃぃっぃ!」と騒ぐ奴は騒ぐさ。